1月10日、W2RC世界ラリーレイド選手権第1戦『第45回ダカールラリー2023』のステージ9が行われ、WRC世界ラリー選手権の“レジェンド”であるセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)が今大会3度目となるステージ優勝を飾り、総合3番手に順位を上げた。
2022年の大晦日に開幕し元日に競技がスタートした2023年のダカールラリーは、サウジアラビアの首都リヤドでの休息日を挟んで後半戦に突入した。競技9日目のステージ9はリヤドからハラドに至る686kmのルートの中に設定された358kmのSSで争われている。
競技3日目から総合首位の座を守っているナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)を筆頭に、トヨタ勢がトップ3を独占するかたちで始まった後半戦のオープニングステージ。ここではプロドライブ製のマシンをドライブする3組が速さを見せ、ステージ8に続く連勝を飾ったローブにバイドタス・ザラ(テルトニカ・レーシング)、ゲラン・シシェリ(GCKモータースポーツ)が続きハンターT1+勢がトップ3を占めた。
アル-アティヤはトップから約9分遅れてステージ8番手となったが、総合2番手のライバルとは1時間20分以上離れておりギャップは充分にある。一方、チームメイトで総合2番手につけていたヘンク・ラテガン(TOYOTA GAZOO Racing)は、このステージ9でメカニカルトラブルに見舞われ約50分のタイムを失うこととなった。これにより順位を総合4番手に下げ、ダカールルーキのルーカス・モラレス(オーバードライブ・レーシング)とローブに逆転を許している。総合5番手はジニエル・ド・ヴィリエール(TOYOTA GAZOO Racing)だ。
今大会、苦しい戦いを強いられているアウディ勢ではカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)がスタートから6km地点の砂丘で着地に失敗し、アウディRS Q e-tron E2が横転するアクシデントに見舞われた。クラッシュの直後、サインツは右半身に痛みを訴えたため検査のためヘリコプターで病院に向かう。
しかし、60歳の“エル・マタドール”は搬送中に引き返すよう指示し、病院にかかることなくマシンのもとに戻りサポートトラックの到着を待った。だが、その執念は実らず。マシンの損傷が激しく修復が困難なことから、ラリー中盤にて今大会からリタイアすることとなっている。
■二輪部門のトップ2はわずか3秒差に接近
二輪部門はジョアン・バレーダ(モンスターエナジー・JBチーム)が16km地点で転倒し戦列を離れるなか、ルチアーノ・ベナビデス(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)が今大会2度目のステージウインを飾った。
部門総合首位を走るスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)がステージ3番手、同2番手に総合でも2番手につけるトビー・プライス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)が入ったため、両者のタイム差はわずか3秒に縮まった。
一方、総合3番手のケビン・ベナビデス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)はトップ2から離される格好となり、首位とのギャップは5分09秒に拡がっている。
日本勢のチームランドクルーザー(TLC)は依然、四輪市販車部門でワン・ツーを堅持。ステージ9はロナルド・バソがステージ121番手/総合93番手、クラス2番手につけている三浦昂がステージ124番手/総合104番手となっている。
トラック部門に参戦している日野チーム・スガワラの菅原照仁は、日野600ハイブリッドにふたたび水温上昇の問題を抱えながらもステージ13番手でフィニッシュし、部門総合順位を10番手に押し上げることに成功した。
11日(水)のステージ10はハラドから南東部のシャイバに至るルート上の全長113kmのSSで争われる。同ステージは距離こそ非常に短いものの、そのほぼ全行程が危険な砂漠地帯“エンプティクォーター”に設定されている。リエゾンを含めた一日の総走行距離は624kmだ。