高級車ブランドと高級腕時計ブランドのコラボウォッチは、昔から“鉄板”だと言われる。そのどちらもセレブたちの所有欲をくすぐるものとされるのだが、そのなかでもベスト3は何か? 九島辰也がナビゲートする。
本文/九島辰也、写真/カシオ、Ⓒしげの秀一/講談社ⓇKODANSHA、リシャール・ミル、IWC、ボーム&メルシエ、ゼニス、ロジェ・デュブイ、ブルガリ、ウブロ、ブガッティ、AdobeStock
■クルマと時計はコラボによってより魅力が輝く!
クルマと時計についての親和性の高さは今さら多くを語るまでもないだろう。自動車業界的からも、時計業界的からも、両者のマーケットはリンクしていると言われている。
それを如実に表しているのがF1業界かもしれない。各チームが各々時計ブランドをスポンサーに持っている。マシンを見れば一目瞭然。ボディサイドにカッコいいデカールが貼られ、お互いのブランド力が「1+1=2」以上に感じるほど魅力あるものとなっているのだ。
毎回、F1日本グランプリのウィークデーには、東京のラグジュアリーホテルでドライバーを呼んだ時計ブランド主催のパーティが行われるが、それもグルーバルでの決まりごと。世界で転戦するF1は世界中の都市で、セレブリティたちにふたつのブランドが組むことの相乗効果をアピールしている。
そしてそこで生まれるのがコラボウォッチ。ふたつのマーケットに訴求する強力なウェポンとなる。
■名だたる高級車ブランド×高級腕時計ブランドがコラボ!
例えばそれはこんな感じ。“ル・マン クラシック”を主催するリシャール・ミルは代表格で、2022年7月にはフェラーリとのコラボモデルを発表した。「RM UP-01フェラーリ」がそれで、価格は2億4750万円(発表当時の予価)、世界限定150本とアナウンスされている。
すでにマクラーレンとのコラボウォッチ「RM 11-03 オートマチック フライバッククロノグラフ マクラーレン」(2018年、2130万円、限定500本)を出していただけに驚きのタッグだ。
IWCとメルセデスAMGのダブルネームとなる「インヂュニア・クロノグラフ・スポーツ “50th アニバーサリー・オブ・メルセデスAMG”」(2017年、限定250本)なども有名だろう。両者の技術力の高さを前面に押し出したメカニカルなイメージの1本だ。
裏面の対磁性インナーケースはカーボン素材のブレーキディスクを思わせるなど、手の込んだ技を見せつけている。真っ当なインテリジェンスを感じさせるふたつのブランドのみごとなコラボレーションだ。
このほかでは、ボーム&メルシエ(シェルビー)「クリフトン クラブ シェルビーコブラ CSX2299リミテッドエディション」(2017年、82万5000円、限定196本)、ゼニス「エル・プリメロ レンジローバー ヴェラール」(2017年、91万円)、ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー イタルデザイン エディション」(2017年、限定8本、2140万円)がある。
また、ブルガリ「オクト レトロ マセラティ グランルッソ」「オクト レトロ マセラティ グランスポーツ」(2017年、各344万円、144万円)などが浮かぶ。どれも華やかなイメージのコラボ商品だ。
■九島辰也が選ぶベスト3はこれだ!
そうそう、ウブロとフェラーリの関係は外せない。「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ カーボン イエロー」(2017年、限定70本、1449万円)は、フェラーリ70周年を記念して生まれたモデルだ。それだけではない。その翌年には時計デザイナーではなく、フェラーリのデザインチームがケースのモデルを発表したこともある。
そんななかで個人的な趣向に合うのが、ブルガリとマセラティのコラボ「オクト レトロ マセラティ グランルッソ」と、レンジローバーヴェラールをイメージしたゼニスの「エル・プリメロ レンジローバー ヴェラール」。これ見よがしではないところが、大人のシックなコーディネートに似合う。特にブルガリとマセラティという、イタリアンデザインの共演は、かなり魅力である。
そこであえてコラボの妙としてランキングするならこちらを第1位としたい。チャコールグレーのスーツにバシッと合わせたい1本だ。そして第2位はゼニスとレンジローバーの「エル・プリメロ レンジローバー ヴェラール」だ。
第3位は、IWCとメルセデスAMGの「インヂュニア・クロノグラフ・スポーツ “50th アニバーサリー・オブ・メルセデスAMG”」とする。この2本もほかのモデルにはないアンダーステイトメントさが好印象だ。
■Z世代向けのコラボスマートウォッチも進化
というのが、いわゆる機械式時計でのコラボだが、すでに時代は令和。Z世代向けとも思われるスマートウォッチのコラボも進化している。例えば、2022年11月1日から BUGATTI SMARTWATCHES JAPAN 公式サイトで受注販売をスタートした「Carbone Limited Edition」(カルボーヌ・リミテッドエディション)がそれ。
ブガッティの世界観をそのままスマートウォッチにした世界初のカーボンファイバー製で、日本限定50本、価格75万円となる。ブガッティとヴィータ・ウォッチ(VIITA Watches)社が共同開発したシロモノだ。
実はこれは第2弾で、第1弾モデル「BUGATTI CERAMIQUE EDITION ONE」(ブガッティ・セラミーク・エディションワン)がある。その名のとおり、セラミック製で価格は45万円。素材の違いから重量はセラミック版の108gから94gと、約13%も軽量化されている。このあたりのこだわりはまさにスーパーカー感覚でおもしろい。
■『頭文字D』『MFゴースト』コラボスマートウォッチも!
いずれにせよ、こうしたスマートウォッチとのコラボは今後増えてくると思われるが、最後は少し趣の変わった時計をご紹介しよう。カシオ計算機と漫画「頭文字D(イニシャルD)」「MFゴースト」のコラボモデル、名前は「ECB-2000MFG」で2022年11月11日に発売された。
ストーリーのなかに出てくるトヨタ86GTをモチーフにモータースポーツの世界を表現したものだ。プレミアムカーブランドのコラボ時計もいいが、こうした身近な商品もクルマ好きには気になる。といっても、すでに完売だけどね。
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