2023年からWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するフェラーリは1月10日、6名のドライバーラインアップを発表した。この中で、フェラーリF1のリザーブドライバーを務める、アントニオ・ジョビナッツィが耐久レース最高峰クラスへとデビューを飾ることが明らかとなった。
現在開発が進められているル・マン・ハイパーカー規定のニューマシン、『フェラーリ499P』は、AFコルセとのファクトリープログラムの下、2台がWEC開幕戦のセブリング1000マイルレースでデビューを飾る。
ジョビナッツィはGTEプロクラス世界王者であるジェームス・カラド/アレッサンドロ・ピエール・グイディとともに、AFコルセのエースナンバーである51号車をドライブすることとなった。
もう1台の50号車はアントニオ・フォコ/ニクラス・ニールセン/ミゲル・モリーナの3名がステアリングを握る。
ジョビナッツィは6人のドライバーの中で唯一、フェラーリから近年のGTレースに出ていないものの、F1のリザーブドライバーとしてフェラーリとのつながりを持っている。また、すでに499Pを複数回テストしてもいる。
また、ジョビナッツィのこれまでのスポーツカー経験としては、2018年にAFコルセからLMGTEプロクラスでル・マン24時間レースに1回出場したこと、そして異なるチームからLMP2に数回出場したことが挙げられる。
「499Pのデビューは、プランシング・ホースの歴史に刻まれる運命の瞬間であり、この特別な瞬間に参加できることは、僕にとって大きな名誉だ」とジョビナッツィは述べている。
「僕らは大きな責任を負っていることを自覚し、謙虚に、しかし自分たちの強さを自覚して、この大きな挑戦に臨む」
AFコルセのフェラーリハイパーカーラインナップの他のメンバーは、近年フェラーリがサポートするGTレース活動に深く関与してきたドライバーたちだ。
フェラーリのスポーツカーレーシングディレクターであるアントネッロ・コレッタは、このプログラムの初期段階から、WECのラインアップはすべて既存のフェラーリ所属ドライバーで構成されることを強調してきた。
「クルーが決定したことで、セブリングでのデビュー戦に向けたプログラムの最後のピースが完成した」と、コレッタはクルー決定後に語っている。
「昨年7月の499Pの最初のシェイクダウン以来、我々はフェラーリ・ファミリーのドライバーたちを巻き込んで精力的に開発を行ってきた」
「今回のラインアップ決定は、参戦するレースだけでなく、選手権期間中の成長にもつながるものだ。速さだけでなく、発展性や一貫性など、彼らに求められるものは非常に明確だ」
フェラーリのハイパーカー・ドライバー6人は、全員がWECのトップクラスに初参戦することになる。
ル・マンのGTEプロクラスで2度の優勝を誇るカラドとピエール・グイディは、昨年ともに3度目となるWECクラスタイトルを獲得し、成功したドライビングパートナーシップを継続することになる。
一方、フォコはGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ/エンデュランス・カップでランキング2位となり、WECのGTEプロでも力強い初陣を飾った。WECでは元DTMドライバーのモリーナと組み、シーズン最終戦のバーレーン8時間レースで優勝を遂げている。
プロトタイプレースでフルシーズンを戦い抜いた唯一のドライバーは、25歳のニールセンであり、彼がハイパーカーチームの最年少メンバーとなる。
ニールセンは2021年のWEC・LMGTEアマクラスのタイトルに続き、昨年はAFコルセの走らせるオレカ07・ギブソンでWECとELMSヨーロピアン・ル・マンシリーズのLMP2クラスに参戦した。
「僕は2017年にフェラーリで最初のレースに出場し、現在はハイパーカー・プログラムの一員にまでなった」と、シングルメイクのチャレンジ・シリーズでフェラーリのキャリアをスタートさせたニールセンは語っている。
「世界耐久選手権のデビューシーズンで499Pをドライブする最初の6人のドライバーのひとりになることは、信じられないことだ」
今回、ハイパーカーのラインアップから漏れたフェラーリGTファクトリードライバーとしては、ダビデ・リゴン、ダニエル・セラ、アレッシオ・ロベラらがいる。
リゴンは499Pを最初にテストしたドライバーのひとりだった。また、セラは11月に新型フェラーリ296 GT3の開発に集中していることを明らかにし、ハイパーカーのシート獲得の可能性を否定していた。
フェラーリによれば、7月のフィオラノでのシェイクダウン以降、499Pのテストカーは1万6000kmを走破したという。2022年の最終テストは、12月にバレルンガで行われた。