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体の芯が寒い。ミラノ中央駅の建物は巨大で、視野のどこにも威圧的な白い石の壁が聳(そび)える。第一次大戦後のファシズムの時代に築かれた駅は、いかつい鷲の彫刻を散りばめ、直線的で何もかもががっしりとしている。 わたしはここでひとりの青年を待っている。亡くなった友人Kの遺児であるAだ。…