もっと詳しく

大前純史・画序・楽翁の旅 四 (文・永井紗耶子) 春伯(しゅんぱく)はふと、廊下の方へと目をやる。そこには春伯の弟子と思しき総髪の若者が薬籠(やくろう)の傍らにいた。春伯に促されるように、おずおずと膝(ひざ)を進めた若者は、深々と頭(こうべ)を垂れた。 「孫の吾郎(ごろう)と申します…