もっと詳しく

 間もなく、アキュラ、BMW、キャデラック、ポルシェのLMDh車両が、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦の『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』で、レースデビューの時を迎える。これら4つのファクトリーチームのマネジメント陣営は、勝利に向けた唯一の脅威は信頼性になると予想している。

 2023年、DPiからGTPへと生まれ変わるIMSAのトップカテゴリーには、前述の4マニュファクチャラーがLMDh規定の新型車両を投入する。年始に行われたグループインタビューで各ブランドの代表者は、IMSAがLMP2クラスの性能引き下げを行ったことから、耐久性に優れたGTP車両が表彰台を占めることになるだろうと口をそろえた。

 開幕前の公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』に向けたLMP2クラスの性能引き下げは、プロトタイプのトップ2クラスの間に適切な階層を確保するために実施された。チーム・マネジメントによれば、シーズン最長のレースにおけるGTPの総合優勝に対しては、信頼性が唯一の脅威となるという。

 BMW MチームRLLの運営担当副社長であるブランドン・フライは、「パフォーマンス・レベルの観点からは、GTPの方がLMP2マシンよりも性能が高いと思う」と語った。

「この新しいクルマに問題があった場合、どれだけすぐに対処し、コース上に戻すことができるかが、信頼性につながる」

「もしすべてがうまくいけば、GTPマシンがLMP2マシンよりも成功することに疑いはない」

「おそらく今年の前半は、信頼性とすべてがうまく機能するかどうかが大きなカギになるだろう」

2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスに登場するBMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)
2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスに登場するBMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)

 チップ・ガナッシ・レーシングのオペレーションディレクターであるマイク・オガラは、デイトナ・オーバルでのGTPとLMP2のトップスピードは「似ているかもしれないが」、LMDhマシンが優位に立つ方法は他にもあると指摘する。

「いくつかのチャレンジがあるだろう」とオガラ。

「ブランドン(BMW)は、かつてのGTDカー対GTLMカーのレースに慣れている。今年はそれがもっと見られるだろう。GTPカーとP2カーでは、ブレーキシステムがかなり違うんだ」

「我々のクルマは、ブレーキングではとても優位に立てるだろう。トップスピードは似たようなものになりそうだ。間違いなく、面白いレースになるだろう」

「レースの最後には、GTPカーが表彰台のトップに立つことを強く期待しているよ」

2022年12月、デイトナでテストを行うキャデラックV-LMDh
2022年12月、デイトナでテストを行うキャデラックV-LMDh

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージング・ディレクターであるジョナサン・ディウグイドの言葉を借りれば、信頼性はレース前の議論の「根底にある流れ」ではあるものの、ポルシェはチームがレースに対して大きく異なるアプローチを取るとは考えていないようだ。

「(NASCARの)デイトナ500のように、大きなアクシデントを避けるために後方で待機したり、故障の可能性を減らすためにペースを落としたりするようなアプローチはないと思う」とディウグイド。

「我々全員がレースまでに“宿題”を済ませ、コントロールできることをコントロールしていけることを願っている」

「IMSAは、適切な階層化を行うために、レギュレーションの策定に多くの時間を費やしてきた。我々全メーカーが参加したデイトナ・テストでも、彼らはそのことに取り組んでいた。(不確定な)レースの影響を受けたとしても、マイクとブランドンが言ったように、GTPが表彰台を占めるべきだ」

 ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの副社長兼ゼネラルマネージャーのトラビス・ホウジは、GTPチームはマシンの耐久性を確保することに加えて、問題に迅速に対処する方法を知る必要があるというフライの意見に同意した。

 前年のデイトナ24時間ウイナーであるWTRは、デイトナで走る2台のアキュラARX-06のうちの1台を走らせる。

「信頼性にかかっている」とホウジは言う。

「問題が起きたときに、どのタイミングで、どのようにリカバーするかが重要なポイントになる。GTPは、我々全員が目指すところに到達すれば、(総合)トップに立てるはずだ」

「スピードよりも信頼性が常に懸念されてきたと思う。このプラットフォームでは、これらの車は常に速くなっていくものであることは知っている」

2022年12月、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのテストで走行するメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06
2022年12月、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのテストで走行するメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06

 ポルシェとキャデラックは、セブリング・インターナショナル・レースウェイで夜を徹した耐久テストを行った。BMWは長距離走行を試みた際にいくつかの問題が発生したが、チームRLLは12月の公認テストでは無事にサーキットへと戻っている。

「我々のうちのいくつかは耐久テストを完了することができ、そのマイルストーンにとても満足している」とディウグイドは語った。

「とはいえ、レースを通してマシンが完璧に走るという100パーセントの確信を持ってこの場にいるわけではない」

「我々は、計画できるすべてのシナリオに対して、可能な限り準備を整えてスタートする。だが、テストはレースではない。 レースが始まったら、それが何をもたらすかを見ていく」