透き通った風のような声の先輩が、私を呼び止めた。「はい、これ」。バレンタインデーに突如チョコレートをくれた先輩は、全盲の後輩にどんなものが良いか、随分と思案したのであろう。美しい裸婦をかたどった立体型チョコレートをくれたのだ。 もしや、「私のことを食べてちょうだい」という隠し言葉…
透き通った風のような声の先輩が、私を呼び止めた。「はい、これ」。バレンタインデーに突如チョコレートをくれた先輩は、全盲の後輩にどんなものが良いか、随分と思案したのであろう。美しい裸婦をかたどった立体型チョコレートをくれたのだ。 もしや、「私のことを食べてちょうだい」という隠し言葉…