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 2022年12月18日に三重県松阪市で行われたフルマラソン大会の話題をレポートする。とはいってもマラソンの実況ではなく、選手輸送体制を取材したので三重交通の大奮闘を振り返る。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)

その距離はたった2km!! の選手輸送?

三重交通の波動輸送は一流!

 2022年12月18日に三重県松阪市において三重県初のフルマラソン「みえ松阪マラソン2022」が開催された。冬晴れかつ、とても冷えた日だったが7000人を超えるランナーが市内を駆け抜けた。

 大会自体は2019年に予定されていたものの、コロナウイルスの影響で延期となり2022年にようやく開催となったもの。何もかも初めてという状況の中で多くのランナーを駅からスタート地点までの2㎞を大量輸送した三重交通がどのように大会を支えたのかを取材した。

 「みえ松阪マラソン2022」は松阪市内にある鈴の森公園をスタートし、市内の観光名所等を走りながら松阪市総合運動公園まで42. 195kmのコースとなっていた。

 最寄り駅である松阪駅からスタート地点の鈴の森公園までは約2km、歩いて約20分という微妙な距離だ。それほど遠い場所でもないので駅から歩いていくランナーもいたようだが、これから長距離を走るランナーのためにシャトルバスが運行された。

持てる輸送力をフル稼働する三重交通

 松阪駅に着くと東口へ係員により誘導された。改札を抜けると自然に人の動きができていて、それについていくとシャトルバス乗り場へ出るという感じだ。

 今回はフルマラソンの他にも10km、2.9km、ウオーキングも同時開催されたが、スタート地点が違うので、それぞれ別に待機しているバスに乗る必要がある。道路を使って両側に振り分けていたので間違って乗ってしまうということはなさそうだった。

松阪駅での流れ

 バスへの乗車は近鉄松阪駅の先にある場所まで行列を形成し、前方から係員がバスに乗車できる人数を数えていき、バス1台に乗車できる人数になったあたりで係員が間に入り区切る。

 すでにバスが並んでいるのでそれぞれに乗車し、3台ずつ程度を同時出発させていく。乗車が完了したところで次に乗車する人を進めていくという流れであった。

ハイデッカー車が隊列を組んで輸送する!

 この乗車方法を見ていて気がついたが、以前に記事にした10月の鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリで近鉄白子駅で行われた乗車方法とほぼ同じであった。

 その際にも三重交通がシャトルバスの運行を担当していたが、これまでにもイベントなどで多くの乗客を輸送することが多いことから、同様の方法が規模に応じて臨機応変に対応できるようにシステム化されているようだった。

往路は大成功! さて復路はいかがなものか?

 列は駅近くまで伸びていたが、バスの本数も多かったのでそれほど待つこともなく次々とバスに乗り込んでいっているように見えた。鈴の森公園への送り届けは問題なかったようだ。

 マラソンは予定通りの9時にスタート。そしてゴール地点である松阪市総合運動公園へは概ね11時過ぎにはトップのランナーがやってくるという予定だ。続いてはその帰りの手段についても見ていきたい。

 ゴール地点である松阪市総合運動公園は松阪市山下町にあり、最寄り駅は近鉄櫛田駅だ。徒歩移動も不可能ではないが、下り道を約2km、徒歩で25分くらいはかかる。

 行きはまだしも、フルマラソンを走破した状態でまた荷物を受け取って歩くのはなかなか大変かと思われ、シャトルバスを利用している人は多かったようだった。

松阪牛もマスク姿で大会を見守る?

 復路のバス乗車の流れはこうだ。人の流れは往路と似ていてバス1台に乗車できる人数を数えて分乗させ、そこに人がいなくなったら後ろから行列を移動させるという流れであったが、バスの動きはやや違っていた。

 乗り場は公園の駐車場なので、道路からバスを入れてくると奥で転回させて乗車位置へもってくるのが大変そうにみえた。また行列は途切れることなく続いているために、多くの台数を待機させておきたい。

スペースを読み切った配車体制が見事のひとこと!!

 図を参考にお読みいただきたいのだが(見れない場合はバスマガジンWEBから)、まずバス1・2に乗車させ2台を出発させるとその隣に停車させている4・5のバスを1・2の位置へ移動させる。

 それまでの間に3のバスへ乗車をすすめておき、次は3台同時に出発させるという形をとっていた。次にやってきたバスは駐車場奥で転回し、4・5の場所へ停車させその次のバスが3のバスの後ろで待機するという感じだ。

 常にいずれかのバスへ乗車が進んでいるので待機列がそれほど伸びないようになっていた。

復路の配車体制

 今回初めて開催された「みえ松阪マラソン2022」に参加したランナーはもちろん、大会を支えた関係者や団体や企業、沿道でさまざまな役割を果たしたボランティアのおかげで無事に終えることができたようだ。

 ちなみにコースの途中で振る舞われたご当地グルメ「松阪肉や松阪鶏焼肉」やトンネル内のイルミネーション等、ランナーへのおもてなしがとても考え抜かれていた。

近鉄もヘッドマーク付きで輸送!

 今回は全国から非常に多くのランナーが参加したようだが、2023年の第2回ももっと盛り上がり、再び多くのランナーを迎えることができるような体制になっていた。そして参加者を安全に輸送するという大役を担って大会を支えた三重交通の輸送体制にも感謝だ。

投稿 輸送区間2kmだけなのに……三重交通のマラソンサポート体制がスゴすぎ自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。