36年の歴史を持つヨコハマスタッドレスの新作「アイスガード7」
そろそろ非降雪地帯の住人であっても、冬用タイヤへの交換を真剣に考えなければならない頃だろう。まだ使えるタイヤを継続して使用するか、もしくは新たなセットを新調するか?
スタッドレスタイヤはサマータイヤよりも進化がわかりやすい世界。新型が出るたびにそのグリップ力の高さに驚かされることが多い。2021年9月にデビューし、今年2シーズン目を迎えたヨコハマのスタッドレスタイヤ「アイスガード7」はその筆頭かもしれない。
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ヨコハマのスタッドレスタイヤの歴史は1985年にスタートしており今年で36年目。シリーズとしては「アイスガード7」という商品名が意味しているように7世代目となる。
今回のテストドライブは2月頭の北海道、旭川で行われた。屋内の氷盤試験場を完備したヨコハマのテストコースにおいて曲がる、止まると言った基本性能を確認。その後一般道に出て実際の使い心地をチェックするというかたちで行われたのである。
「アイスガード7」の特徴は数多あるが、中でも特徴的なのはその精悍な表情、トレッドパターンだろう。同社のスタッドレスタイヤとして最大の接地面積(アイスガード6と比べ+3%)を誇るというそのトレッドはギュッと目が詰まっているように見える。だが細かく切られたブロックパターンやサイプのおかげでエッジの量は33%も多くなっている。
また新開発のコンパウンド、「ウルトラ吸水ゴム」も性能向上に寄与しており、圧雪と氷上という異なる条件におけるグリップを両立させているのである。
今回印象的だったのは、ウルトラ吸水コンパウンドを使用したスリックタイヤとの比較だった。一見、クルマが全く前に進まないようなツルツルのタイヤなのだが、氷の温度が-10度くらいで直進するだけならコンパウンドのおかげで意外なほどグリップするのだ。
一方氷の温度が高くなったり(-1度付近)ブレーキングや少しステアリングを切り込んで曲げようとした際、スリックでは容易にグリップが失なわれてしまう。そこはウルトラ吸水コンパウンドやエッジ部分のひっかき性能がものを言うのである。
雪上スラロームのコースでは4WDのトヨタ・ベルファイアを使用して先代の「アイスガード6」と性能を比較することができた。加速はもちろんだが、減速時やコーナリング時の舵角の少なさ、そしてコントロール性能においても7の方が優れていることがわかった。
6の場合は滑ってラインが膨らんでしまうことを予め予測して早めにステアリングを切ったり、ブレーキをやさしく踏みはじめたりすることになる。だが7を常識的なペースで走らせた場合には、サマータイヤと同じようなタイミングの運転操作によってクルマをリニアに動かすことができる。例えタテとヨコのグリップのような話が分からなかったとしても、6と7の違いははっきりと体感できるレベルだったのである。
ハンドリング路でGRヤリスをドライブした時などは、加速も相当なものだしブレーキングドリフトによってコーナリングをはじめ、思い通りのラインで立ち上がることができた。安心感の高さを超越したスポーツドライビングの世界を堪能することができたのである。
トヨタ・カローラ・ツーリングの4WDモデルで走った一般道でも、安心感が高かった。一般的には圧雪路が多いが、交差点の近辺だけはツルツルに磨かれたアイスバーンだったりするので、テストコースとは異なる緊張感がある。ところがここでも「アイスガード7」の路面を選ばないリニアな反応により、すぐにリラックスしたドライビングが楽しめるようになった。旭岳の中腹まで上がっていくような勾配がきついコースでも自信をもってドライブすることができたのである。
「アイスガード7」の動的な性能はまさに2020年代の最先端を行くものだと言える。となれば、もうひとつ気になるのは寿命、長持ち性能ということになる。この部分でも7は進化しており、50%摩耗時の状態で6はサイプの表面積が半分になってしまうのに対し、クワトロピラミッドグロウンサイプを採用している7では逆に7%増える設計になっており、ロングライフ性能を担保しているのである。
またウルトラ吸水コンパウンドのゴム自体も硬くなりにくいものになっており、氷上性能を例にとれば3年後でも新品と同じ、4年後で微かに低くなる程度の性能を実現しているのである。
「アイスガード7」はSUVを除く乗用車用で、13~21インチまで幅広くサイズ展開している。総合性能においてもバランス良く仕上げられているので、「次のスタッドレスは何にしよう?」というタイミングが来たら、ぜひとも試してみたい銘柄といえるだろう。
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