メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、チームにとって非常に期待はずれだった2022年シーズンについて前向きな解釈をしており、前進するためには失敗しなければならないと説明している。
メルセデスは2021年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得し、ハイブリッド時代を支配していたが、2022年はマシンの問題によってレッドブルとフェラーリに次ぐ3位に落ちてしまった。また、ルイス・ハミルトンにとっては2007年のF1デビュー以来初めてレースで優勝できなかったシーズンとなったが、チームメイトのジョージ・ラッセルは第21戦ブラジルGPで優勝を飾ることができた。
「負けた時にどう反応するか、どう対処するかということについて、我々はこの8年間話をしてきた」とウォルフは最新の『Beyond the Grid』ポッドキャストでトム・クラークソンに語った。
「否応なくそれはいつの日か起きることだと分かっていた。そしてそうなった」
「パフォーマンスの面では、8回連続でコンストラクターズタイトルを獲得した後、集団から抜け出すのに0.5秒遅れを取るようになった。私はむしろ楽観的だが、このことに慣れる必要があったのは確かだ」
2022年型マシン『W13』の問題を克服するためにブラックリーとブリックスワースの誰もがシーズンを通してノンストップで作業を行った。ラッセルがサンパウロで出した力強い証拠は、彼らが正しい方向に進んでいることを示していた。
「シーズンを通して調子を取り戻したことについて、特にチームのことを誇りに思っている。1レースだけの些細なことではなかったからだ」
「ただ上昇するだけの明確な軌道があったわけではない。いいレースをすると次には後退した。最終的には、当初よりも先頭集団のマシンとライバルたちにはるかに近づいたと思う」
ウォルフは、すべての成功から学ぶよりも、問題や失敗からの方がより多くのことを学べると主張した。
「成功するためには失敗と間違いを犯さなければならない。最後にはこのような一文に帰するだろう。『我々が負けていた日々は、ライバルたちが後悔することになる日々だ』なぜなら我々は最も多くを学んでいるからだ。将来がその証となることを願っている」
またウォルフは、2023年にメルセデスが主なライバルたちと同レベルに戻ると期待しているが、確実と言えることは何もないと認めた。
「私は常にグラスは半分空だと考える方で、リスクを見ている。実際のところ、論理的に言えばレッドブルはシーズンを通して圧倒的優位にあった」
「レッドブルやフェラーリよりも開発ペースを上げることは非常に難しいだろう。だが私はこの組織を信じている」
シーズン序盤にメルセデスが直面した問題は“ポーパシング”だった。2022年に導入された新たな空力ルールから生まれた副次的影響であり、W13はロングストレートでバウシングするようになってしまった。その問題に取り組んだメルセデスは、マシンのドラッグが大きすぎることに気づいた。そのせいでマシンはレッドブルと競うには遅すぎたのだ。ウォルフは、2023年に向けてエンジニアリングチームがこの問題に懸命に取り組んでいると語った。
「基本的にそれはダウンフォースの不足ではなく、ダウンフォースをマシンに作用させる際の問題だ」
「我々の学んだこと、チームの価値観、力づけて非難をしないカルチャーによって、来年に我々はより強力な形で戻るだろうと考えている。実力でレースに勝ち、タイトルを争うだろう。それは当然のことだろうか? もちろんそうではない」