12月6〜7日、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSA公認テストに2台目の『BMW Mハイブリッド V8』を投入したBMW。しかしこの公認テストの前、11月に予定していた24時間耐久テストは、メカニカルトラブルにより短縮されていたことが明らかとなった。
BMWのLMDhプロジェクトリーダーであるマウリツィオ・レスキウッタによれば、先月セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われたテストでは、キャデラックのV-LMDhが24時間走行を完遂した一方で、いくつかの問題によってBMWは早期にテストを打ち切ったという。
10月にミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで行われた最初のIMSA公認テスト以降のBMWの走行について尋ねられたレスキウッタは、「我々にはいくつかの機械的問題と、他の災難があった」と答えた。
「セブリングでは、ハイブリッド・ギヤ・ドライブの不具合によってギヤボックスの故障が発生した。ベアリングが破損し、(その完成度が)おそらく100%ではないことが分かった」
「その部分についてはXトラックからのアップデートがあり、我々はここデイトナでそれを投入している」
「エンジンにも問題があったのだが、ギアボックスの問題では交換にかなり時間がかかってしまった」
「我々はマイレージを稼ぐこと、そして夜間走行をすることを目的とし、セブリングに向かった。しかしマシンが止まっている時間が長く、それは救いようがないものだった」
「交換が終わってすぐに走行を続けたが、残念ながら最後はエンジントラブルで止まってしまった。我々は走行時間を延長しようと計画していたのだが、24時間には届かなかった」
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レースまで6週間となったいま、レスキウッタはシーズン開始前に長距離耐久テストを行う機会が「現実的にはない」ことを認めている。
レスキウッタはデイトナでの公認テスト前までの総走行距離について、10,000kmを超えていることは認めながらも、「充分ではない」ということ以外、語ろうとしなかった。
「我々がやりたいことは、残されたテストの機会での走行時間を最大化することだ。今回の公認テストでは2台のマシンを走らせたい」
「すべてのプロトコルと手順、車検、技術などについて迅速に対応し、すべてがクルマで適切に動作するようにしていく」
「12月15日にオースティンでもう1回テストがある。2日間のテストで、夜間走行も少し行い、マイレージを稼ぐつもりだ。そこで2台目のレースカーをロールアウトすることも目標だ」
「(デイトナ24時間1週前の公式テスト)“ロア”では、マシンをベストな状態に整え、オペレーションに集中したい」
最近の失敗からテストプログラムの強化を検討したことがあるかと尋ねられたレスキウッタは、スケジュールの観点からすでにできることの限界に達していると指摘した。
「我々はすでに隔週でテストを行っており、それをさらに強化しようとすると、すべてに負担がかかりすぎる」とレスキウッタ。
「私がプロジェクトチームの何人かとしているたとえ話は、試験を前に、必死に“頭に詰め込む”作業をしているときに、『これはもういったん勉強をやめて、一晩ゆっくり休んで頭をスッキリさせて、試験に臨んだほうがいいのではないか』と思うことに似ている、というものだ」
「だから、最終的に多くのことをやろうとするのは、最良の解決策ではないかもしれない。我々はすでに非常にタイトなスケジュールを組んでいる。2週間に1回のテストは大変なものだ。ベストを尽くさなければならない」
「そしてこのシリーズに参加しているほとんどの人が感じているのは、サプライチェーンの問題に360度取り囲まれ、ストレスにさらされているということだ」
「パーツの到着がギリギリになってしまうのは、作業を整理する上で好ましいものではない。我々は、できる限りこれに対処しようとしている」
「それは確かに快適ではないし、我々が望んでいる状況ではないが、プログラムを開始したときから分かっていたことだと思う。なぜなら、それは白紙の状態から最初のレースまで18カ月しかないプログラムであり、しかもそのレースは24時間だ。それは厳しいものだ」
「それを埋めるのは大変なことだ。 これからは袖をまくり上げ、できる限り仕事をやり遂げ、ロアに向け最善を尽くさなければいけない」