三菱ふそうトラック・バスは12月6日、小型トラック「キャンター」をリモートオフィスとして利用できるように改造したコンセプト車両「NOMADPro CANTER(ノマドプロ・キャンター)」を公開した。
「自然が持つ癒やしの力を活用すること」をコンセプトに、三菱ふそう、パブコ(三菱ふそう100%子会社の架装メーカー)、Dream Drive(キャンピングカーメーカー)が共同開発したノマドプロ・キャンターとは一体、どんなクルマなのか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/三菱ふそうトラック・バス
リモートワークの新しい生活様式を提案
ノマドプロ・キャンターは、移動式の仕事場を提供し、リモートワークの新しい生活様式を提案するコンセプト車両として開発された。
コロナ禍で急速に普及したリモートワークやデジタルノマドと呼ばれる場所を問わない働き方は、これまでのオフィスワークの定義を世界的に覆して働き方を再定義し、通勤時間の削減や、より柔軟な働き方などの多くの恩恵をもたらした。
一方、在宅での勤務は運動不足や社会的孤立につながる可能性があるとも言われている。そこで三菱ふそうでは、コロナ禍以前から導入しているリモートワーク制度や、ノマドプロ・キャンターを通じて、社員のワークライフバランスや心身の健康維持のサポートを推進する。
キャンターの汎用性の高さをアピール
ノマドプロ・キャンターは、キャンターのウイングボディ架装モデルをベースに開発された。
ボディの内外装には三菱ふそうのルーツである日本の要素を取り入れており、外観は矢羽根をモチーフにした伝統的な絣(かすり)織物っである矢絣(やがす)をモダンにデザインしたグラフィックを採用し、ノマドプロ・キャンターのコンセプトの1つである「素早く動く」を表現している。
最大の特徴はボディ右側にウイング開閉機構を採用していることで、仕事中などにウイングを開けることで、コンセプトである「自然の持つ癒やしの力を活用すること」を体現。心地よい空気を感じながら仕事や勉強に集中することができる。開いたアオリはデッキとしても使うことが可能だ。
一方、入り口には日本庭園をイメージした4つの石タイルを配置し、屋外との一体感を演出。ワークステーションはデュアルモニター設計で、テーブルとベンチは格納式のため仕事を離れる際にはキャビネット内に簡単に収納できる。
クルミ材のカウンター、シンク、IHクッキングヒーターも備わり、木製のアコーディオンドアで仕切るプライベートシャワールームも装備。シャワールーム内にはヒノキ製の風呂椅子や桶も備わる。
座椅子の下に格納されている折りたたみ式ベッドを展開すれば、休憩や寝泊まりも可能。LED照明を搭載しており、本を読んだり、モニターで映像鑑賞などを行なう「くつろぎ空間」としても活用可能だ。
なお、三菱ふそうによると、ノマドプロ・キャンターの一般販売や受注は予定していない。今後はFUSO公式デジタルチャンネルや自動車展示会への出品を予定するほか、2023年に関東エリアでロードツアーを行なうとしている。
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