12月8日(木)、「フィギュアスケートグランプリファイナル2022」が開幕する。
2020年と2021年はコロナ禍で中止となったため、3年ぶりに開催される同大会。舞台となるのは、2006年に荒川静香が金メダルを獲得したイタリア・トリノの五輪会場だ。
今回は世界王者・宇野昌磨を筆頭に男子4名(宇野、三浦佳生、山本草太、佐藤駿)、世界女王・坂本花織を中心に女子3名(坂本、三原舞依、渡辺倫果)、そしてペアは“りくりゅう”こと三浦璃来/木原龍一と、過去最多の日本人選手が出場。
テレビ朝日では12月9日(金)~12月11日(日)、松岡修造(番組メインキャスター)&荒川静香(特別解説)&織田信成(解説)とともに、この熱き戦いの模様が連日放送される。
男子シングル&女子シングル&ペアの3種目で「グランプリファイナル」制覇という日本勢初の快挙を成し遂げる可能性も十分に秘めた氷上決戦――。
その開幕を目前に、織田信成のコメントが到着。今大会の注目ポイントを伝えている。
◆宇野昌磨、イリア・マリニンと初の頂上決戦
北京五輪で銅メダル、今年3月の世界選手権では金メダルを獲得した世界王者の宇野昌磨。
今シーズン開幕を前に、羽生結弦がプロスケーターに転向して以来、宇野は新エースとして日本チームをけん引してきた。
「グランプリシーズ」ではカナダ大会とNHK杯で優勝し、ファイナルの切符をつかんだ宇野が見据えるのは、自身初の「グランプリファイナル」制覇。
彼にとって強敵となるのが、アメリカのイリア・マリニンだ。
今季からシニアに本格参戦したマリニンは今年9月、世界で初めて4回転アクセルを成功させた“4回転の申し子”。
「グランプリシリーズ」でもアメリカ大会&フィンランド大会で2連覇、宇野を上回るトータルスコアを叩き出し、全体1位でファイナル進出を決めた。
そんな2人が「グランプリファイナル」では、公式戦で初となる頂上決戦を繰り広げることに。
織田も「宇野選手に関しては、フリーで4回転ジャンプがどこまで決まるか…。マリニン選手は宇野選手よりも高い演技構成で4回転ジャンプを跳んでくるので、技術点でどんな戦いが繰り広げられるのかが、一番の見どころだと思います」と期待を寄せる。
さらに、日本勢にはファイナル進出一番乗りを決めた日本期待の若手・三浦佳生、ケガを乗り越え自身初のファイナルの舞台にまで駆け上がった山本草太、「ジュニアグランプリファイナル」金メダリストの佐藤駿と、強者が勢ぞろい。
宇野率いる男子日本チームが、強敵マリニンを相手にどんな戦いを展開するのか――手に汗握る金メダル争奪戦に注目だ。
◆坂本花織、初のファイナル制覇なるか
今大会は女子シングルも、日本勢3人が進出した。
その筆頭となる選手が、宇野同様に北京五輪で銅メダル、今年3月の世界選手権では金メダルを獲得し、世界ランク1位の女王として自身2度目の「グランプリファイナル」に臨む坂本花織だ。
織田も「優勝候補!」と断言する彼女は、今季から「変化」をテーマに掲げ、より女性的な表現に挑戦中。さらなる高みを目指し、新たな一歩を踏み出した“NEW花織”が、自身初の「グランプリファイナル」制覇を目指す。
さらに、難病および体調不良で2019年から約1年半の療養を余儀なくされるも、着実にステップアップして今回の「グランプリシリーズ」で初優勝、しかも2連覇を達成した三原舞依。
そして、エントリー選手の欠場による代打出場からめきめき台頭し、「グラプリシリーズ」初出場のカナダ大会で得意のトリプルアクセルを成功させ、初優勝まで果たした遅咲きのニューヒロイン・渡辺倫果も出場する。
「3選手とも優勝を狙えるだけの点数、そして武器を持っています」と分析する織田。
そんな中、織田も「要注意」と警戒するのが、今年の世界選手権で坂本に次ぐ銀メダルを獲得したベルギーのルナ・ヘンドリックスだ。さらに、今年の世界ジュニア選手権で優勝したアメリカのイザボー・レビトも、日本勢の前に立ちはだかることに。
今季グランプリシリーズで僅差の戦いを繰り広げている女子シングルは、出場者全員に世界一の可能性がある。
◆りくりゅう、目指すはファイナル金メダル
さらに、今大会はペア競技も熱い。
今年の世界選手権でも銀メダルに輝いた“りくりゅう”こと三浦璃来/木原龍一ペアは、今季の「グランプリシリーズ」でも大躍進。
日本人同士のペアで初となる「グランプリシリーズ」優勝という快挙を成し遂げたカナダ大会に続き、NHK杯でも2位以下に大差をつけて連勝し、全体1位でファイナル進出を決めた。
出場者の中でも今季のベストスコアが群を抜いており、日本人ペア悲願の「グランプリファイナル」金メダル獲得も大いに期待できる。
織田も「今、誰もが認める世界No.1のペアカップルと言っても過言ではない」と絶賛し、「優勝するしかない!このチャンスを逃がさず、しっかり優勝してほしい。表彰台止まりじゃダメです。金を取れる実力を持ったペアなので、絶対に実現してほしいです!」と力強いエールを贈る。
はたして2人はこの波に乗り、日本人ペア初の世界一という新たな歴史を作ることができるのか?
◆織田信成・コメント(全文)
――男子ファイナルの見どころを教えてください。
やはり宇野昌磨選手とイリア・マリニン選手の優勝争いがポイント。
宇野選手に関しては、フリーで4回転ジャンプがどこまで決まるか…。マリニン選手は宇野選手よりも高い演技構成で4回転ジャンプを跳んでくるので、技術点でどんな戦いが繰り広げられるのかが、一番の見どころだと思います。
また、フレッシュでスピード感のある最年少・三浦佳生選手、悲願のグランプリファイナル進出を果たした山本草太選手も、表彰台に立つだけの実力があります。
さらに、三浦選手と佐藤駿選手は北京オリンピック後の日本を引っ張っていく若い世代。4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向け、まずは今回のファイナルでどんなインパクトを放ってくれるのか、非常に楽しみにしています。
――女子ファイナルの見どころについては、いかがですか?
日本人の3選手とも優勝を狙えるだけの点数、そして武器を持っています。特に坂本花織選手は優勝候補。もちろん、三原舞依選手も優勝を狙える位置にいます。
また、渡辺倫果選手もファイナルに出場する6選手の中で唯一、トリプルアクセルを武器として持っている。ファイナルでもトリプルアクセルが決まれば表彰台、あるいは優勝に絡めるだけの実力はあるんじゃないかなと思います。
そんな中、要注意なのはベルギーのルナ・ヘンドリックス選手。完璧な演技をすれば、6人の中で一番高い演技構成点を叩き出してくる選手ですので、彼女の美しい演技が日本人選手にとっては壁になってくるんじゃないでしょうか。
――ペアでファイナル進出を決めた三浦璃来/木原龍一の強さはどこにありますか?
やはりユニゾンの良さだと思います。ペアやアイスダンスでは、2人が動作を揃えないといけないのですが、“りくりゅう”は意識しなくても動きがしっかりと合うんです。だから、自然で美しく見えるんですね。
そんな2人にとって、力強いリフトやツイストで加点を確実に取ってくるアメリカのアレクサ・シメカ・クニエリム/ブランドン・フレイジャー組がライバルになるとは思いますが、演技全体の質や安定感においては“りくりゅう”の方が一枚上手。
今、誰もが認める世界No.1のペアカップルと言っても過言ではないので、僕は「優勝するしかない! このチャンスを逃がさず、しっかり優勝してほしい」と思っています。表彰台止まりじゃダメです。絶対に金を取れる実力を持ったペアなので、絶対に実現してほしいです!