2022年最後のFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)会合が12月7日に実施され、F1に関するいくつかの決定事項が公表された。2023年F1中国GP中止に伴う、23戦からなるカレンダーが承認され、そのうち6戦がスプリントフォーマットで実施されること、スプリントに関するバジェットキャップ規定が変更されることが決まったほか、来年はCOVID-19に関するプロトコルを緩和することについて提案がなされた。また、2024年に向けては、安全性向上のため、ロールフープに求められる強度を大幅に引き上げることが決定した。
WMSCは、23戦から成る2023年F1カレンダーを承認。しかし、今後、中国GPの代替レースが加わり、24戦に戻る可能性はあると考えられている。2023年は今年の倍の6戦がスプリントフォーマットで開催され、その会場はアゼルバイジャン、オーストリア、ベルギー、カタール、アメリカ、ブラジルであることも発表された。なお、スプリントフォーマットに変更することでチームが負担するコストが上昇することを考慮したバジェットキャップ規定が変更。年間の関連費用の算出における免除に関し、1戦あたりの調整額が倍増された代わりに、マシンがダメージを負った際の調整は廃止された。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためのプロトコルを、2023年に緩和することが提案された。
「FIAは世界的なパンデミックの状況の変化に合わせて、COVID-19に関するプロトコルを進化させ続けている。2023年F1シーズンに向けて、COVID-19に関するプロトコルを緩和することが提案されている」とFIAの声明には記されている。
「要約すると、プロトコルの主要な変更点は以下のとおりだ。『参加に適さない』参加者(つまり、COVID-19の症状がある、あるいはCOVID-19感染が確認されている者)は、『高密度』エリアに立ち入ることが許可されない」
「参加者は、高密度エリアに立ち入るために、COVID-19のワクチン接種を受けることは要求されない。FIAは現場での検査施設を組織しないが、グランプリ会場の地域で利用可能な検査施設について、利害関係者に通知する」
2024年については、ロールフープに要求する強度を大幅に高めることが承認された。2022年F1イギリスGPスタート直後に発生した周冠宇(アルファロメオ)のアクシデントをきっかけに、ロールフープ規則が変更されることがすでに決まっている。
他車にヒットされた周のマシンは、逆さまになった状態でスピンしながら、ターマックからターン1外のグラベルトラップまで滑っていき、タイヤバリアを乗り越え、セーフティネットに底面から当たって、バリアとネットの隙間に落下した。周には幸いにも大きな怪我はなかった。この事故において問題視されたことのひとつは、逆さまに滑っていくなかで、FIAが義務づけている検査に合格したロールフープバーがマシンから脱落していたことだった。
8月の時点で、ロールフープの安全基準に関して変更を行うことが発表され、2023年F1技術レギュレーションにおいて、ロールフープの上部を丸くすることで、アクシデントの際にロールフープが路面に食い込む可能性を下げることに加え、ロールフープのホモロゲーションテストの変更がなされることが決まった。
これに加えて、2024年にはさらなるホモロゲーションテストの強化が行われることが決まった。
「スポーツの安全基準を改善するための継続的な取り組みの一環として、2024年に向けて、ロールフープが必要とする強度を大幅に高めることが承認された」とFIAは述べている。
「つまり、ロールフープがシャシー構造に、より適切に固定されることを求めるため、テストで適用する水平方向への荷重を増す」