1月7日、第45回ダカールラリー2023のステージ7が行われ、地元サウジアラビア出身のヤジード・アル・ラジ(オーバードライブ・レーシング)がベストタイムをマーク。今大会初のステージ優勝を飾った。
ラリーの競技7日目は本来であればアル・ドゥワディミを起点とするループステージが行われるはずだったが、6日目の時点でその前日に同地を襲った大雨の影響でビバーク設営が困難だったことからルートが変更され、選手たちは2日前倒しでハイル入りし一夜を過ごすこととなった。
明けた7日(土)は首都リヤドからアル・ドゥワディミに向かう全長861kmルートが設定され、そのうちの333kmでスペシャルステージが行われた。なお、同ステージではライダーの疲労を考慮し、バイクとクワッドのレースはキャンセルとなっている。
二輪ライダーの不在は四輪部門の選手たちにとって、とくにナビゲーションの部分でラリーを難しいものにした。そのなかでトップタイムをマークしたのは、前日に砂丘で立ち往生し大きく順位を下げてしまったアル・ラジだった。
通算4度目のステージウインを飾った地元ドライバーの後方ではBRXハンターT1+勢が続き、8分54秒遅れてヴァイドタス・ザラ(テルトニカ・レーシング)がステージ2番手、ゲラン・シシェリ(GCKモータースポーツ)がトップと10分15秒差の同3番手となった。
総合首位のナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)はアル・ラジから約19分の後れを取ったが大勢には影響せず。
「このステージは本当に簡単なものではなかった。僕たちは序盤からかなりプッシュした。それにもかかわらず数分失ったが、明日に向けていいポジションにつけるように気をつけたよ」と語ったアル-アティヤと、TGRのチームメイトで現在総合2番手につけているヘンク・ラテガンの間には1時間1分04秒のギャップがある。
また、ディフェンディングチャンピオンは総合3番手のルーカス・モラレス(オーバードライブ・レーシング)を対象とした場合には、さらにもう10分のアドバンテージを持っている。
■3台目のアウディも上位から姿を消す
ジニエル・ド・ヴィリエール(TOYOTA GAZOO Racing)を加え、前日に引き続きトップ4を占めたトヨタ勢とは対照的にアウディ勢は競技7日目も試練の一日となった。
この日、前日のステージ6でクラッシュを喫したステファン・ペテランセル(チーム・アウディスポーツ)がコドライバーのエドゥアール・ブーランジェが背中を痛めたためリタイアとなったが、同じポイントでクルマを壊してしまったカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)はメカニックの努力によって競技に復帰している。
総合2番手、4番手とそれぞれ上位につけていたベテラン勢が揃って表彰台争いから脱落するなか、総合5番手で7日目のステージを迎えたマティアス・エクストローム(チーム・アウディスポーツ)にも悲劇が訪れる。3台目のアウディRS Q e-tron E2を駆る彼は196km地点でトップに立ったものの、その後左リヤのサスペンショントラブルにより走行の中断を余儀なくされた。エクストロームのもとにはサインツが駆けつけサポートに回ったが、それでも3時間を超えるタイムロスとなり129番手でのフィニッシュに。総合順位も19番手まで下げることとなった。
■日野チーム・スガワラ、今大会初のトップ10フィニッシュ
日本勢では、新型トヨタ・ランドクルーザー・GRスポーツを投入しているチームランドクルーザー(TLC)の三浦昂がステージ101番手/総合130番手、チームメイトのロナルド・バソがステージ108番手/総合100番手でステージ7をフィニッシュ。四輪市販車部門のワン・ツーを守っている。
トラック部門に参戦している日野チーム・スガワラの菅原照仁は、前日のステージ6で日野600ハイブリッドに発生した水温トラブルを克服。好ペースで競技7日目のステージを走りきり部門8番手タイムをマークした。日野チームにとってこれがダカールラリー2023での初のトップ10フィニッシュとなっている。総合順位は前日から変わらず部門14番手だ。
バイクとクワッドがラリーに復帰する1月8日(日)の競技8日目は、ふたたびハイルに戻るステージ8が行われる。ラリー前半戦の最終ステージであり、休養日前最後の一日は346kmのスペシャルステージで争われる。総走行距離はこれに476kmのリエゾン(移動区間)を加え822.94kmとなっている。