国土交通省は1月4日、道路運送車両の保安基準を一部改正し、トラック・バスなど大型車の衝突被害軽減ブレーキの基準を強化。新たに歩行者に対応する制動要件などが盛り込まれた。同改正は昨年11月末に発表されているが、施行を機に改めてその中身を紹介する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/国土交通省、トラックマガジン「フルロード」編集部
歩行者に対応する衝突被害軽減ブレーキが義務化へ
国土交通省は、車両総重量3.5トン超のトラック・バスなど大型車を対象に、歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の装着を義務付ける。公布・施行は1月4日で、適用開始時期は新型車が2025年9月から、継続生産車が2028年9月からとなっている。
衝突被害軽減ブレーキは、カメラやレーダーで前方の車両や歩行者を検知し、万一衝突しそうな場合には自動でブレーキを作動させて衝突被害を軽減する装置。トラックには2013年以降順次装着が義務化されており、現在は車両総重量3.5トン超の全車に装着が義務付けられている。
ちなみに、乗用車や軽自動車はすでに歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務化されている。
今回の基準強化は、国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において「衝突被害軽減ブレーキに係る協定規則(第131号)」の改正が合意され、新たに対歩行者の基準が追加されたことなどを踏まえ、改正された協定規則を日本の保安基準に反映させることなどが目的。
新たな基準では、時速20kmで走行中に時速5kmで横断してくる歩行者(6才児相当)に対して衝突しないことが要件とされ、新たに対歩行者を想定した試験が追加される。また、静止車両に衝突しないことが求められる速度も時速20kmから時速70kmまで引き上げられる。
なお、今回の衝突被害軽減ブレーキの基準強化と同時に、トラック・バスへの車両後退通報装置(バックアラーム)の装着義務化も公布・施行された。こちらは適用開始時期は新型車が2025年1月から、継続生産車が2027年1月からとなっている。
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