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えーっ!!! 車検に通らない!? まさかの「不正改造判定」を受けないためのカスタマイズの基礎知識

 愛車のカスタマイズを趣味とするクルマ好きは多い。ただし、安全や環境を確保するために、クルマやバイクの保安基準が道路運送車両法によって定められている。これに適合しない車両、つまり「不正改造車」は、公道を走ることが許されないのだ。

 しかし、パーツをあれやこれや変えていくうちに、いつの間にか不正改造車になってしまっていた! なんてことはけっこうあるもの。そんな事態を避けるためにも、特におさえておくべき改造に関する規制を解説したい。

文/鈴木喜生 写真/写真AC

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罰金はどのくらい?

 道路運送車両法第99条の2では、自動車の「不正改造などの禁止」が規定されていて、もしこの法律に違反した場合には、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる。

 また、道路交通法第62条では、道路運送車両の保安基準を満たさないクルマを運転することを禁じており、違反した場合は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる。

 さらに、「整備命令の発令に従わない場合」には、50万円の罰金が科せられ、車両の使用を禁止されることもある(道路運送車両法第54条)。

 では、どんな改造が「不正改造」になるのか、その具体例をみてみよう。

「灯火類の色」には厳密な規定がある

 道路運送車両の保安基準では、車両の各灯火器の色を定め、その変更を禁止している。違う色のパーツを使用すると、他のドライバーや歩行者などに車両の走行状態(進行方向など)を誤認させるからだ。これは航空機や船舶にも共通する概念と言える。

 各灯火器の色は、下表のように決められている。ポジションランプ(車幅灯)は方向指示器などと一体、または兼用のもの、二輪車用のものなどは橙(だいだい)色でもよい。また、ウインカー(方向指示器)は、点滅回数が毎分60回以上、120回以下である必要がある。

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窓ガラスへのフィルムは透過率をしっかりチェック

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運転席と助手席のサイドガラスにフィルムを貼る場合は、可視光線の透過率が70%以上であることを確認したい

 フロントガラスや、運転席と助手席の側面ガラスに可視光線の透過率が70%未満のフィルムを貼り付けると不正改造になる(道路運送車両の保安基準第29条)。運転席より前方のガラスは視界確保と、周囲の交通状況を的確に確認するためにクリアにしておかなくてはならないのだ。

 特に夜間には、透過率の低いフィルムを貼ると視認性が極端に悪化して大変危険。しかし、フィルムはDIYでも可能な簡易な改造だけに、明らかに違法と思われるクルマを見かけることが多い。

 合法とされているのは、可視光線の透過率が70%以上のフィルム。ネットショップなどで購入する場合は、透過率が70%以上のものかをしっかり確認しよう。

タイヤやホイールのはみ出しはダメ

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これは不正改造の例。タイヤとホイールが明らかに車体からはみ出している。タイヤや足回りにも大きな負担をかける

 ひと昔前には”鬼キャン”のクルマを公道で見かけることもあったが、これもれっきとした不正改造で、道路運送車両の保安基準第18条によって禁止されている。

 タイヤやホイールがフェンダーより外側へはみ出していると、十分な接地が得られず挙動が不安定になり非常に危険だ。また、足回りに大きな負荷がかかるだけではなく、タイヤの片減りによるバーストの危険もある。

社外品エアロパーツは安易に選んではいけない!

 ドレスアップパーツの代名詞であるエアロパーツも要注意箇所だ。法令では、フロント・サイド・リアともに車体よりはみ出すことなく装着し、さらに人を傷つけるような突起物がないこと、溶接、ボルト止め、接着のいずれかで強固に固定することが規定されている。

 サードパーティのアフターパーツを取り付ける場合は、装着後の車体寸法や重量が一定範囲内であれば、「軽微な構造変更」とみなされ、車検証記載変更の申請をするだけでよい。とはいえ、購入前に軽微な構造変更の範囲内の(車検に通る)ものかを確認するようにしたい。

マフラー回りの改造には要注意

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マフラーの地上高が9cm以下だと不正改造となり、車検にも通らない

 マフラーの交換もポピュラーな改造。それだけにさまざまなマフラーが巷には流通している。そのため、取り付けるマフラーが保安基準に適合しているかをしっかり確認しないと、うっかり違法改造車になってしまう恐れがある。

 マフラーは騒音を防止するために、基準に適合したマフラーを備えることが定められている(道路運送車両の保安基準第30条)。「基準に適合するマフラー」としては、以下のいずれかの表示があるものだ。

○自動車製作者表示(純正マフラー)
○性能等確認済表示
○認定機速適合品表示(Eマーク)
○欧州連合指令(EU指定)適合品表示(eマーク)

 上記の他に、以下の2点どちらかをクリアしている場合も、基準に適合しているとされる。

○加速走行騒音試験を実施して騒音値が基準に適合する自動車
○加速走行騒音レベルが協定規則、またはEU指令に適合する自動車

 ひとつ目の加速走行騒音試験に関しては、公的試験機関が実施した試験結果が必要となる。ふたつ目は、外国の法令に基づく書面、または表示で確認できるとされ、例えば、「COCペーパー」(EU指令に基づく車両型式認可車両に交付される適合証明書)や、「WVTAラベルまたはプレート」(EU指令に基づく車両型式認可を受けた車両に貼付されている当該車両型式認可番号)が、これに該当する。

 これらの法令は、平成22年(2010年)4月以降に製作された自動車および原動機付自転車に適用される。

 また、マフラーの取り付け位置に関しても厳格な規定があるので注意が必要。1999年以降に製造された車両の場合には、マフラーの最下部が地上から9cm以上の位置になければいけない。

 この他、排気ガス排出量や車体後部に対する取り付け位置の規定などの細かい規定もあるため、マフラーの取り付け・調整はプロに任せることが賢明だ。また、アフターパーツのものは基準に適合しているかを購入前にしっかり確認しよう。

これも「不正改造」になる⁉

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警音器の音は「連続するもの」、かつ「音量が一定なもの」であり、音量は「前方7mの位置で112db以下、87db以上」であることと規定されている(道路運送車両の保安基準43条)

 これらの他にもうっかり不正改造になりがちなものとして、以下のような項目が挙げられる。

○フロントガラスなどへの装飾版の取り付け
○音が大きすぎるホーンやクラクションの取り付け
○最低地上高が90mm未満となる車高調整

 こうした基準は、歩行者や他の車両に対する安全を確保するだけためだけではなく、環境保護などさまざまなことを考慮したうえで規定されている。見た目のカッコ良さだけを追求して安易なドレスアップや改造を行うことは自分の身を危険にさらすことにもなるため、絶対にやめてほしい。

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