クルマの進歩は日進月歩であり、ひと昔前までは一部の高級車にのみ設定されていたような装備が、気づけばエントリーカーに標準装備されていた、ということも珍しいことではない。
特に近年は先進安全装備や運転支援システムなどの進歩が目覚ましく、自動運転については法整備が追い付かないほどのスピードで進化を続けているのである。
それだけにクルマ自体もフルモデルチェンジを実施し、性能や装備をアップデートしていくことは当然のこと。
近年ではおおよそのモデルが5年から7年程度のライフサイクルで新型へ進化していくのが一般的だが、フルモデルチェンジを実施せず、かといって終売することもなく現在でも販売が続けられている長寿モデルも存在している。今回はそんな長寿を誇る現行車を紹介したい。
文/小鮒康一、写真/三菱、日産、マツダ
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一部改良で着実に進化! 日産エルグランド(2010年8月~)
日産のフラッグシップミニバンとして知られるエルグランドは、高級ミニバンの元祖とも言える存在であり、このモデルがなければ現在のアルファード/ヴェルファイアも存在しなかったといっても過言ではないほど市場に影響を与えた1台だ。
しかし、現在ではすっかりアルファードの影に隠れた存在となってしまっており、2010年8月に3代目が登場してから現在まで、フルモデルチェンジをすることなく販売が継続されている。
といっても完全な放置プレイというわけではなく、2018年末の一部改良では衝突被害軽減ブレーキを全車に標準装備し、2020年10月のマイナーチェンジでは先進安全装備の強化に加え、プレミアムスポーティ仕様の「AUTECH」を新たに設定する。
さらに2022年11月にも一部改良を実施するなど、商品力の向上が図られている点を見ても、決して日産がエルグランドを諦めていないことが分かるだろう。
大幅アップデートで魅力UP! 三菱デリカD:5(2007年1月~)
3列シートミニバンでありながら、SUV顔負けの走破性を誇る“オールラウンダーミニバン”として、いまだに安定した人気を誇っているデリカD:5。2007年と言えば、三菱のカーラインナップにミニカ、ランサー、ギャランフォルティス、グランディスなどの懐かしい名前が並んでいた時代であり、時代の流れを感じずにはいられない。
2019年2月にはダイナミックシールドを採り入れた現行三菱のファミリーフェイスに一新したほか、ディーゼルエンジンも型式こそ変わらないものの、主要機構部品のおよそ半数に改良が入るなど、フルモデルチェンジに近い改良がなされているほか、今年に入ってからも復活したラリーアートから新たなアクセサリーが追加されるなど、老いてなお盛んといったところだろう。
輝きを増し続けるマツダMAZDA2(デミオ時代を含めると2014年9月~)
経営危機の状態にあったマツダを救った救世主としても知られるデミオも、現行型で4代目。2019年7月のマイナーチェンジでグローバルネームの「MAZDA2」に改名しているが、基本的には4代目デミオを踏襲して現在まで販売が続けられている。
MAZDA2になったタイミングで静粛性が向上し、クルマとしての完成度もワンランク上のものとなったほか、国産車のこのクラスの車両としては唯一ディーゼルエンジンを搭載しているほか、3ペダルMTのラインナップも豊富ということで、いまだに根強いファンが多い。
クルマとしても2021年6月に一部改良がなされ、ガソリン車の一部が高圧縮比仕様となって環境性能をアップしたほか、ワイヤレス給電やApple CarPlayのワイヤレス接続をオプション設定するなど装備の充実化が図られており、同年10月には半導体不足の影響で車両のディスプレイが7インチから8インチに大型化(CX-3と共用化)がなされるといううれしい誤算もあった。
一部改良で注目モデルが登場! スズキ アルトラパン(2015年6月~)
スズキのベーシック軽であるアルトをベースに、キュートな内外装をプラスして主に若い女性をターゲットとしたアルトラパン。3代目となる現行型はベースのアルトが8代目へとフルモデルチェンジを果たした半年後に登場している。
ベースとなったアルトは昨年12月に9代目へとフルモデルチェンジを果たし、ラパンも3代目の時と同じように後追いでフルモデルチェンジを実施するのではないか? と思われていたのだが、なんとラパンは6月17日に一部改良がなされ、新たに往年のフロンテを思わせるフロントマスクを持った「アルトラパンLC」を追加。
さらにミッションを新型アルトに搭載されたものと同じアイシン製のものに置き換えるなど、間に合わせの改良とは思えない力の入りようで、アルトラパンはしばらく3代目が継続販売されるだろうなと思わせるものとなっていた。
このように、フルモデルチェンジを行わない車種には車種なりの理由があるのだろうが、終売をさせないということは、メーカーにとっても存在意義がある車種と認識されているのは間違いない。
そのためこれらの車種は決してメーカーに見放されたモデルというわけでなく、むしろ大切にしたい車種ということになるだろう。そうでなければ継続的に一部改良などをしてまで延命することもないハズで、いつの日かフルモデルチェンジをするタイミングを虎視眈々と狙っているとも言えるのである。
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投稿 10年選手も当たり前? フルモデルチェンジしなくても魅力あり!? 長寿命のクルマ4選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。