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 ポルシェのLMDhディレクターであるウルス・クラトレによると、ポルシェはカスタマー向けのLMDh車両『ポルシェ963』のデリバリーを、2023年4月末まで行わないことを決定した。

 ポルシェ・モータースポーツのボスであるトーマス・ローデンバッハは先月、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レース(2023年1月)のグリッドにプライベーターのポルシェ963が並ぶのは「非常に厳しい」と述べていたが、それを受けての展開である。

 現在デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われているIMSA公認テストの場でクラトレが語ったところによれば、2023年のカスタマーであるJDCミラー・モータースポーツ、JOTA、プロトン・コンペティションの3チームはすべて、契約締結前に4月のデリバリーというタイムフレームについて知らされていたことを強調した。

 このタイミングとなる理由は、サプライチェーンの問題と直接結びついていると説明した。

「デリバリーは4月末になる」とクラトレは語った。「組み立ての必要があるため、どのカスタマーが具体的にどの日付で車両を受け取るかは、まだ決定されていない」。

「計画は常に変化しており、我々は議論を続けている。これはカスタマーにとって(新たな)ニュースではない、それは注記されていた。彼らは皆、4月であることを事前に正確に知っていた」

「いろいろな事情で4月末にずらさなければならなかったが、それでも4月ではある」

「それが答えだ。デイトナでもセブリングでも、ロングビーチでもポルティマオでもないんだ。それ以降はマシンを早く届けるためにあらゆる努力をするが、数週間や数カ月ということはないだろう」

 このタイムフレームでは、4月29日に開催されるWEC第3戦スパ6時間が、カスタマーデビューに最も近いレースとなる可能性がある。

 一方、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの第4戦は、5月14日にウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカで開催される予定だ。

 クラトレによれば、どのチームが最初にクルマを手に入れるかは、まだ決まっていないという。

「我々は何も隠したくないので、これは現在、内部で話し合っていることのひとつだ」と彼は言う。

「バイザッハでカスタマーのクルマを準備し、組み上げておきながら、何らかの理由で納車しないなんてことになったら、バカバカしい。そういうゲームはやりたくないし、そんなことは絶対にしない」

「カスタマーカーは、カスタマーチームと一緒に作り上げていく。我々は、彼らができるだけ早くクルマに触れられるよう、努力している」

「彼らは、メカニックやエンジニアと何をするか、社内でスケジュールを立て、最終的に決定しなければならない。どこかのチームが、数日早くクルマを手にすることになるかもしれない……すべてを並行して行うことは不可能だからね」

 今週のテストに参加しているJDCミラー・モータースポーツチームの共同オーナーであるジョン・チャーチも、Sportscar365の取材に対し、4月のデリバリーとなることを認めている。

 クラトレは、「彼らがそれ(デリバリーの遅れ)を好まないことは理解している。我々も好きではない。シリーズ側も嫌がっているんだ」と付け加える。

「ただ、これは非常に野心的なプログラムだ」

「ワークスチームやすべてのOEMが、今日まさにマシンを走らせようとしている。カスタマー車両が走るのは、その4カ月半後だ。そういう意味では、非常に野心的なプログラムだ。それでも我々は懸命に努力している」