12月7日に鈴鹿サーキットで始まった全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テスト/ルーキーテスト。その名のとおり、ルーキーを含め注目のドライバーが多数参加しているが、一方で2022年にフル参戦を果たしながらも、今回は異なるチームからテストに臨んでいる者もいる。
まだ2023年体制を正式発表していないホンダ陣営では、2022シーズンにルーキー・オブ・ザ・イヤーを争った佐藤蓮と三宅淳詞が、それぞれTCS NAKAJIMA RACINGの65号車、ThreeBond Drago CORSEの12号車でステアリングを握っている。
2022年はTEAM GOHに所属していたふたりは、これまでと異なるチームのマシンをドライブし、どんなフィーリングを得たのか。初日のセッション1終了時点で、話を聞いた。
■他車を避ける形でコースアウトした佐藤
セッション1では終盤にトップタイムを記録しながらも、その後コースアウトを喫してしまった佐藤。佐藤によれば、他の車両と交錯したのが原因であるという。
今回のテストでは、1台あたり4セットのニュータイヤが供給されているため、順当に考えれば4つあるセッションのそれぞれ終盤で、このニュータイヤを投入しタイムアタックを敢行する流れとなる。
佐藤も終盤にニュータイヤを装着し、1分36秒117という全体ベストをマーク。次のラップもアタックを継続しようとしたが、2コーナーでコースアウトしてしまった。
「他の車両が視界を横切ってフラフラとしていたので、それを避ける形で外に出て刺さってしまいました」と佐藤。
「幸いダメージはそこまで大きいものではなかったので、午後も走行はできそうです」
TEAM GOHからの“乗り換え”となったTCS NAKAJIMA RACINGの車両については、フィーリングは多少異なっているようだ。
「やっぱりいままで乗っていた車とは、性格が結構違うな、という印象です。いままではセクター1とかで苦戦していましたが、そこは速くなっている印象です。S字などでは、よく曲がるなぁ、と」
よく曲がるということは、スプーンや130Rなどでは挙動がナーバスに感じられたりもしそうだが、佐藤は「それもそんなに感じなくて、全体的にタイヤがいい状態のときのバランスはいいなと感じました」という。
佐藤のクラッシュにより赤旗終了となってしまったため、他のマシンの“本当のタイム”については未知数のセッション1となってしまったが、「最初の走り出しから好調だったので、いい滑り出しになりました」と佐藤は好感触を口にしている。
午後も引き続き、セットアップの変更などで感度チェックをしていき、終盤にはまたニュータイヤでのアタックを予定しているという。
なお、2022年シーズンのTEAM GOHと同様、佐藤が「ドライビングの面、それ以外の面でもすごくアドバイスをいただいているので、助かっています」と語るアドバイザー役の伊沢拓也も、今回のテストではTCS NAKAJIMA RACINGに帯同しており、佐藤の新環境への適応を支えている。
■SFgoで“予習”して臨んだ三宅
一方、福住仁嶺と三宅が12号車をシェアする形でテストに臨むThreeBond Drago CORSEでは、走行前日に道上龍監督が語っていた狙いもあり、三宅が初日のドライブを担当している。
三宅は12号車のドライブに向け、SFgoアプリのオンボード映像で12号車の挙動をあらかじめ“予習”。そこで見たものと、実際に乗った感触に大きな差はなかったようだが、「チームによってそれぞれコンセプトがあるので、やはりフィーリングは違っていますね」と佐藤と同様にこれまでの車両との違いを感じ取っているようだった。
「(レースとは)コンディションが違いますし、寒くてエアロ(ダウンフォース)も増えているので一概には言えませんが、リヤがしっかりしているイメージがありますね」
「赤旗も多かったので、ニューに近いような、いい状態のタイヤでのアタックはできていないですが、(自分の)ミスもなく、そういったことを着実に確認できるセッションになりました」
今回三宅は、個人としての速さや技量のアピールに主眼を置くのではなく、チームへのフィードバックを果たすという役割を忠実にこなそうと務めている。
「チームにはやりたいメニューがありますので、午後のセッションでも、ミスなく、データをとれるようにしていきたい」と三宅。ホンダ陣営の来季体制は未発表ではあるが、スーパーフォーミュラへの継続参戦を望む三宅にとっては、午後のセッション2も貴重な走行機会となる。