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夕暮れ時は早めのライトオンをお願い!! 路線バスから見えないんです

 みなさんこんにちは。現役バス運転手の運屋フランクです。12月に入り、暗くなるのがずいぶん早くなりましたが、みなさんはどのタイミングでヘッドライトを点けていますか?

 現在のクルマはオートライトが標準装備されているので、そもそもライトを操作する必要がないのかもしれません。しかし、それが事故を呼ぶ可能性があるのです。今回はこの時期に注意したい、夕刻の無灯火走行についてお話しします。

文/運屋フランク(Team G)
写真/運屋フランク(Team G)、AdobeStock

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■ヘッドライトには“被視認性”という重要な役目がある

路上にクルマがいるのはわかりますが、無灯火のため風景の一部になってしまっているように見えませんか?(kurosuke@AdobeStock)

 ヘッドライトには、進行方向を照らす以外にも被視認性という機能があります。夕刻はライトをつけなくてもある程度の視界は確保できるのですが、被視認性の観点から無灯火は大変危険です。

 その理由は交通量が増えるというのが第一。そして警戒したいのが自転車と歩行者の増加です。

 12月ともなれば、3時には夕方の雰囲気になり4時にもなればすっかり夕暮れです。その時間帯は小中学校の下校時刻に重なります。特に小学生は下校時も元気いっぱい。友達とかけっこするなど、動きが予想できません。そんな小学生がクルマの存在に気づかず道路に飛び出してきたらどうなるでしょう……。

 バスの運転席から夕刻の無灯火のクルマはどう映っているのでしょうか。私の目には「街の景色に溶け込んでいる」ように映っています。溶け込んでいるということは目立たないということ。目立たなければ発見は遅くなり、危険度が増えるのです。

■自分は見えても相手は見えない、日の傾きに注意

 夕刻には、クルマが街の景色に溶け込む以上に危険な状況が生まれます。それが太陽の傾きによる順光と逆光状態の発生です。

 自車に対して順光(背中に太陽がある)状態の場合、自分からは対向車がはっきりと見えています。しかし対向車から見ると、実は太陽以外は黒つぶれ、つまり影になってしまい、見えづらいのです。

 逆光がまぶしいとバイザーを下げ、サングラスをかける人もいるので、無灯火のクルマはさらに存在が薄くなります。その状態で学生の自転車を追い越すために、対向車線にはみ出したらどうなるでしょう。そこにクルマがいたらアウトです。そのような事態はライトを点ければ避けられるのです。

 ちなみにバスは、バス停からの発進時は右側のバックミラーで後続車の有無を確認しています。ミラーに対して逆光状態(自車は順光)では、無灯火のクルマは本当に見えません。

 発進しようとしたらクルマが追い越してきて急ブレーキということも何度もあります。ライトの点灯は円滑な交通を助ける効果もあるのです。

■早朝時間帯も同じ、特に霧発生時の無灯火は危険

霧が出たらクルマは本当に見えなくなります。無灯火は本当に近くに来るまで見えません(smiltena@AdobeStock)

 ライトを点けてほしいタイミングは夕刻だけではありません。まず、雨天の際は絶対に点灯をお願いしたいです。

 今年の夏もゲリラ豪雨にたくさん遭遇しましたが、視界は非常に悪いのに、ライトをつけているクルマは1割未満という実感でした。水の中から対向車がいきなり現われ、本当に怖い思いをしました。ライトが点かなければ当然テールランプも点かず、追突の恐怖も常に付きまといました。

 また、今の時期は早朝もライトの点灯をお願いしたいです。夕刻の順光・逆光状態は朝も同じです。さらに早朝は霧が出ることも多く、まるで雲の中に突入したように視界がない状態もあります。霧発生時、オートライトは反応しませんので、ドライバーがライトを操作しない限り無灯火です。

 早朝はお年寄りの方が散歩に出ていることが多く、クルマに気づかずに道路を横断することも考えられます。また自車に気づかず他車が交差点に進入することも考えられます。早朝時間帯の事故は大混乱を引き起こしますので、そうなったら目も当てられません。

■ライトの点灯であなたの存在をアピールして!

 最後に、夕刻の運転は身体的な問題も意識しておく必要があります。それは夜間に対する目の慣れです。日が傾き始めると一気に暗くなります。私も運転中に感じるのですが、暗くなると目が慣れるまでに時間がかかるのです。

 また夕刻の運行で感じるのは、昼間の感覚でみんながクルマを運転しているということ。ライトの無灯火をはじめ、速度、車間距離が昼間のままなのです。そこに「早く帰りたい」という心理が加わるため、バスを無理やり追い越して対向車と衝突寸前、というインシデントも起こります。

 私が思うに、ライトの点灯は心の切り替えスイッチです。オートライトは大変便利ですが、それに頼らず意識的にライトを活用することで、不幸な事故を防げると信じています。

 ちなみに私が普段運転するバスのライトはオートではありません。時代錯誤のように感じますが、だからこそ意識的にライトを活用しています。見えないクルマは大変危険です。ライトを積極的に点けて、あなたの存在を強くアピールしてください。

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