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 RX-7にランエボ、ホンダのタイプRシリーズなど、“ジャパニーズスポーツ”の価格暴騰が止まらない。その筆頭と言えるのが、いわゆる第二世代と呼ばれるR32~R34のスカイラインGT-Rだろう。中でもR34最終型の高騰ぶりは恐ろしいほどで、新車価格を超えるのは当たり前。新車のポルシェやフェラーリが買えるくらいの値段がついてることも珍しくない。

 そんな手の届かない存在になってしまったスカイラインGT-R。実を言うと、筆者はR34の元オーナーで、高騰する前に売却している。「今売ったら一体いくらになるのか?」「あの時手放してなければ今頃は……」とか、そんなことを思わずにはいられない。自分の体験談を紹介する。

文、写真/奥津匡倫(Team G)

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2001年にR34の中古車を460万円で購入しクラッシュも経験

調子に乗ったばかりに買って間もない愛車をこんな状態に。この時の修理代がなければ、結構なチューニングもできたかも知れないし、そもそも新車だって行けてたのかも

 筆者のR34は平成11年式の前期モデル標準車。最初の車検まで半年ほど残った中古車で購入。距離は1万9000㎞ほどで事故歴なし。それで総額460万くらいだったと思う。72回のローンは長く苦しかったけれど、その後のチューニングやサーキット走行を想像しながら、憧れのGT-Rライフをスタートさせたことを喜んでいた。

 しかし、浮かれていたのだろう。家の近所のちょっとしたカーブでクラッシュ。時々、「何でこんなところでクラッシュしてるの?」と思うような事故を見掛けることがあるが、まさにそんな感じ。それによって買ったばかりの愛車を事故車にしてしまったばかりか、約200万にも達する修理代まで抱えるハメに。調子に乗った代償はえらく高いものになってしまった。

当時の売却価格はなんと150万円!! 今ならヒト桁増えるかも

外観がほぼノーマルだったこともあって、雑誌やムック本に登場したことも何度か。仕事のパートナーとしても優秀なクルマだった。パーツ代と保険料の高さは苦しかったけれど

 おかげで思い描いていたようなチューニングをすることもできず、手放すまでノーマルに近い状態のまま。それでもクラッシュ後は深刻なトラブルもなく、9年間で走行距離も10万㎞に近づきつつあった。そんな頃、筆者は何かと“ツイてない”できごとに見舞われることが多く続き、急遽、まとまったお金が必要になったことなども重なったことから、仕方なく愛車を手放すことに。それが2010年頃のこと。

 今からすると信じられないが、当時の相場は低走行のニュルなどを除けば300万円台後半~400万円台後半がボリュームゾーン。探せば200万円台後半のものも見つかる、という具合だった。筆者のR34は手放した時点で11年落ちの前期型。事故歴ありで距離約9万5000㎞。車検なし、フルノーマルではないと、中古車としては決していい条件とは言えない内容だったが、150万円で買い取られていった。9年7万6000㎞。事故の修理代がなければ、320万円で乗れた計算だ。

今なら大金持ち確実!? とっても悔しい今の買取価格

 手放して2~3年後くらい経った頃だろうか。第二世代GT-Rの値段上昇に勢いが付き始め、手放したことを話すたびに「もったいなかったね~」と同情されるようになった。R34の今の相場を調べてみると、2000万円級はザラ。安いものでも1500万円くらい。とりあえず1000万円未満では買えないクルマになってしまったことは間違いない。

 手放した当時はそこそこの条件だったこともあり、自分でも納得しているつもりだったが、今のこの相場は何!? 感覚的には筆者が手放した頃の3~4倍くらい。だとすると、売却価格も450~600万とかになったりしたのだろうか?

 今頃になってものすごく損したような気分だ。しかも、もう2年もすれば、R34もアメリカの“25年ルール”をクリアするようになるため、その値段はますます上昇するかもしれない。今さら宝くじが当たった時のような心配をしても仕方ないが、昨今の異常とも呼べる価格上昇を見ていると、元オーナーとしてはとっても複雑な思いを抱いてしまうのだ。

 でも、ひとつだけ間違いなく言えることは、手放す時に思った“またいつか買い戻したい”はもう絶対無理!! ということ。筆者の元愛車、今もどこかで元気にしてるのかなぁ?

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投稿 あの時売らなきゃなぁ……R34GT-Rを150万円で売却!! 大損した自動車ライターの恨み節自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。