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島田麻央 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

現地時間12月8日からイタリア・トリノで開催される『フィギュアスケートグランプリファイナル2022』。

ジュニア世代による『ジュニアグランプリファイナル』もシニアと同じ日程、同じ会場で開催される。

シニアでは宇野昌磨、三浦佳生、坂本花織、三原舞依ら多くのメダル候補が出場する日本勢だが、次世代を担うジュニア世代も日本勢が大活躍。『ジュニアグランプリシリーズ』で続々と上位に入り、男女シングルでともに3名の日本人選手が出場を決めている。

シニア同様、表彰台を独占する可能性もある今回の『ジュニアグランプリファイナル』。期待のニューヒーロー&ヒロインたちを紹介しよう。

◆男子は個性的な3選手が出場

男子シングルに出場する日本勢は中村俊介片伊勢武(かたいせたける)アミン吉岡希の3名。

中村は第1戦フランス大会でシリーズデビュー。

そのデビュー戦でショートプログラム(SP)首位に立つと、フリーでもトップの141.97点という高得点を記録し優勝。

フリーでは冒頭の4回転トウループで転倒したものの、その後のトリプルアクセルを成功させるなど精神力の強さも披露していた。

中村俊介 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

2戦目のイタリア大会では2位だったが、フリーでトップの得点を叩き出すなど実力の高さをアピール。

課題はフリー冒頭の4回転か。トリプルアクセル、トリプルルッツなどのジャンプには高さと安定感があるだけに、ミスを少しでも減らすことができれば優勝も十分に狙えるだろう。

片伊勢武アミンは第6戦ポーランド大会で優勝。長い手足を活かした優雅なスケーティングで観客を魅了した。

トリプルアクセル+トリプルトウループのコンビネーションなどゆったりとした優美な跳躍が持ち味。

片伊勢武アミン 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

全日本ジュニアではSPで首位に立ったものの、フリーで逆転され涙を流した。その悔しさをバネに今大会ではさらなる飛躍が期待される。ジュニア世代とは思えない“大人の演技”に注目だ。

第2戦チェコ大会で優勝した吉岡希は、同大会でSP、フリーともにパーソナルベストを更新。成長した姿を見せつけた。

チェコ大会のフリーでは4回転にも成功、優勝した全日本ジュニアのSPでもトリプルアクセル、トリプルルッツ+トリプルトウループを成功させるなど、今シーズンはジャンプが安定している。

吉岡希 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

スピンにまだ課題があるようだが、全日本ジュニアで優勝するなど勢いに乗っている。ジャンプなどミスのない演技で頂点を狙う。

◆女子は優勝候補筆頭の島田麻央が登場

女子シングルには、『ジュニアグランプリシリーズ』2戦優勝で合計得点トップの島田麻央、同じく2戦優勝で2位につけた吉田陽菜(はな)、そして4位の中井亜美の3選手が出場する。

全日本ノービス選手権3連覇を達成するなど、鳴り物入りで『ジュニアグランプリ』デビューを飾った島田。

チェコ大会のショートでは、演技後半の3回転ルッツ+3回転トウループなどすべてのジャンプに成功。フリーでも3回転アクセルを成功させるなど技術の高さを披露した。

4回転トウループには失敗したものの、トータル200点超えで初出場初優勝を果たしている。

続く2戦目の第5戦ポーランド大会ではSPで2位となったものの、フリーでは3回転アクセルなどを成功させパーソナルベストを更新。『ジュニアグランプリシリーズ』2大会連続優勝を達成した。

全日本ジュニアも2連覇と現時点で絶好調、優勝候補筆頭ともいえる島田。3回転アクセルなど6種類の3回転ジャンプ、さらには4回転トウループという高難度な技でジュニアデビューイヤーに世界制覇なるか注目だ。

そんな島田同様、『ジュニアグランプリシリーズ』では第1戦フランス大会、第7戦イタリア大会の2大会を制した吉田。

吉田陽菜 写真:西村尚己/アフロスポーツ

『ジュニアグランプリシリーズ』は今季初出場だったが、スピン・ステップでレベル4を獲得するなど潜在能力の高さを披露している。

島田同様、3回転アクセルを含む6種類の3回転ジャンプを持ち味としており、4回転ジャンプにも意欲をみせている。

長い手足を活かした伸びやかな演技、その中で見せる力強いジャンプは強烈なインパクトがある。自信をつけてきたトリプルアクセルで表彰台なるか。

ジュニアとしては2季目となる中井は、14歳の中学生。

『ジュニアグランプリシリーズ』は初出場にもかかわらず、第3戦ラトビア大会のフリー冒頭でトリプルアクセルに挑戦。回転不足となったが、3つのコンビネーションを成功させ、さらに3つのスピンすべてでレベル4を獲得。3位に入り、初出場で初の表彰台をゲットした。

中井亜美 写真:森田直樹/アフロスポーツ

第6戦ポーランド大会では、SPですべてのジャンプに成功し、スピン・ステップでレベル4を獲得。パーソナルベストを更新して首位に立つと、フリーでは冒頭のトリプルアクセルに成功。パーソナルベストを更新する136.90点で初優勝を飾った。

今季のフリーでは冒頭のトリプルアクセルに成功すると、一気に波にのり高得点をマーク。大舞台でも強心臓ぶりを発揮した。『ジュニアグランプリファイナル』でも台風の目となるかもしれない。

そんな日本女子3選手のほか、『ジュニアグランプリファイナル』に出場するのはジア・シン、チェヨン・キム、ミンソル・クォンの韓国3選手。思わぬ“日韓対決”となったが、いずれにしてもハイレベルの戦いになりそうだ。

さらに、ペアの村上遥奈・森口澄士組も繰り上がりでファイナル出場が決定。史上最多7組の日本選手陣出場となった。

高難度な演技はもちろん、華麗なスケーティング技術、表現力でもシニアとの距離を縮めてきているジュニア世代。『ジュニアグランプリファイナル』を戦う男女の精鋭たちがオリンピックや世界選手権の頂点に立つ日もそう遠くはないだろう。

2022年を締めくくる彼らの戦いに注目だ。