1月4日、元日に本格的な競技がスタートした第45回ダカールラリー2023は競技4日目のステージ4が行われた。ハイルを起点に同地の北側に設定されたこのループステージでは、WRC世界ラリー選手権の元9連覇王者であるセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)が速さを見せ、今大会初のステージ優勝を飾っている。
競技の初日こそ総合2番手につけていたものの、ステージ2とステージ3でそれぞれトラブルに見舞われ大きくポジションを下げてしまったWRCの“レジェンド”が意地を見せた1日だった。
プロドライブ製のBRXハンターT1+を駆るフランス人は、全長574.01kmのうち425kmで争われたステージ4で攻めの走りを展開。ステージ終盤にパワーステアリングが機能しなくなるアクシデントに見舞われながらもマシンをフィニッシュ地点まで運んだ。その結果、ダカール通算14勝を誇るステファン・ペテランセル(チーム・アウディスポーツ)より13秒早いタイムを刻み、見事ステージ4のウイナーとなっている。
「このステージでは本当にハードにプッシュしようとした。つねにフルアタックを続けたよ」と通算17回目のステージ優勝を飾ったローブ。
「最後から20kmの地点でパワーステアリングを失ってしまった影響でステージをゆっくりと終えなければならなかった。(速度を落とさなければ)コース上にマシンをとどめておくことができなかったんだ」
「(思うように)ステアリングを切ることができず、一時はスピンアウトもした。ステージを終えるのはとても大変だったが、最終的にベストタイムが出せたから何もないよりはましだ」
ローブとペテランセルに続いたのは、前日にマシントラブルによって首位から陥落したカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)だった。ローブから1分50秒遅れてステージ3番手となった“エル・マタドール”の16秒後方では、総合首位に立っているナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)が同4番手でフィニッシュ。ステージ5番手で4日目の競技を終えた総合2番手のヤジード・アル・ラジ(オーバードライブ・レーシング)とのギャップを13分20秒から18分18秒へと拡げている。
アル-アティヤと総合3番手につけるペテランセルのタイム差は18分52秒だ。総合8番手から同4番手に順位を上げたサインツはそこから約14分遅れている。
■二輪部門はホンダ勢が1-2フィニッシュ。日野にトラブル発生
二輪部門では、ホンダCRF450ラリーで参戦しているジョアン・バレーダ(モンスターエナジー・JBチーム)が今大会初のステージウインを記録。2番手には同じくホンダのパブロ・キンタニラ(モンスターエナジー・ホンダ・チーム)が続いた。16秒差でワン・ツーを築いたホンダ勢の後方3番手にはスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)が入り、総合順位を4番手から2番手へと上げている。
ステージ8番手で4日目の戦いを終えたダニエル・サンダース(レッドブル・GASGASファクトリー・レーシング)は総合首位の座を守ったが、ハウズと総合3番手につけるケビン・ベナビデス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)とのギャップは縮まった。トップと両者のタイム差は3分33秒と4分05秒だ。
日本勢のチームランドクルーザー(TLC)は、新型ランドクルーザー・GRスポーツを駆る三浦昂組、ロナルド・バソ組の両ペアともに安定した走りでステージ4を走破。バソが四輪部門総合116番手、三浦が同118番手につけ四輪市販車部門でワン・ツーを維持している。
トラック部門で日野600ハイブリッドを走らせる日野チーム・スガワラの菅原照仁は、ステージ序盤にインタークーラーホースが外れてしまうトラブルに見舞われた。異音や振動などの症状から原因を探る点検を含め問題の解決に約2時間を要したが、その後はペースを取り戻しステージ20番手/部門総合16番手でフィニッシュした。
1月5日(木)は2日続けてハイルのビバークを中心としたループステージが行われる。ハイルの東部を舞台とするステージ5の全長は373km、リエゾンを含めた1日の総走行距離は645.04kmとなっている。