まとめ
- みかん、カボチャなどカロチンが多い食べ物を取りすぎると、『柑皮症 (かんぴしょう) 』といって肌が黄色くなることがあります。
- 野菜ジュースやサプリメントの摂りすぎでも同じ症状が起きます。
- 手のひらだけではなく、白目まで黄色い場合は柑皮症ではなく、『黄疸 (おうだん) 』が疑われ、肝臓などの病気の可能性があります。
「冬はこたつでみかん」というのは日本の風物詩ですよね。また、冬至の頃にカボチャを召し上がる方もいらっしゃるでしょう。
柑橘類もカボチャも美味しいのですが、実は食べ過ぎると体が黄色くなってしまう『柑皮症』という症状を発症することがあります。今回の記事では、柑皮症について皮膚科専門医が解説していきます。
この記事を書いた医師
やさひふ
Yasahifu
医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士
Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。
皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。
『柑皮症』ってなんですか?見つけたら病院に行くべき?
柑皮症とは、『カロチン』という成分が皮膚にたまって、肌が黄色っぽく変色することを指します (参考文献 1) 。特に、皮膚が厚い部分である手のひらや足裏などで症状が強く出ます。
「肌が黄色くなるなんて内臓がおかしくなったのかな!?」と不安になるかもしれませんが、基本的には恐れる必要はなく、受診の必要もありません。単に食事でカロチンを取りすぎているだけなので、特別な治療は不要であり、カロチンの過剰摂取をやめれば自然に元の肌の色に戻ります。
とはいえ、一度発症すると皮膚の色がもとに戻るまでに1ヶ月以上かかることもあります (参考文献 2) 。見た目的に気になりますので、できれば柑皮症を発症しないほうが良いですね。
「カロチン」はどんな食べ物に含まれているの?
さて、ここでクイズです!この写真の中で、食べすぎると柑皮症になる可能性がある野菜はどれでしょうか?
柑皮症になりやすい食べ物には「カロチン」が多く含まれています。具体的には、みかんなどの柑橘類 (かんきつるい) 、にんじん、カボチャ、アンズ、パセリ、マンゴー、とうもろこしなどの野菜/果物、そして海苔などがカロチンを多く含んでいます (参考文献 1) 。
実は先ほどの画像では、全てがカロチンを多く含む緑黄色野菜であるため、食べすぎると柑皮症を発症する可能性があります。たとえ好きな食べ物でも、同じものばかりを摂りすぎないようにしましょう。
一般的な食材以外では、野菜ジュースの飲み過ぎ (参考文献 3) や、β-カロチンを含むサプリメントの摂取 (参考文献 2) で柑皮症が起きた報告もあります。健康食品やサプリメントの安易な摂取には要注意ですね。
柑皮症の原因がわかったら、柑橘類を始めとするカロチンを多く含む食材の食べ過ぎを止めたり、野菜ジュースやサプリメントを中止したりしましょう。
肌が黄色くなる原因は『みかんやかぼちゃの食べすぎ』以外もあります!
ただし、柑皮症のうち一部には、内臓の病気が背景にひそんでいることもあります。カロチンが皮膚にたまりやすくなる原因として、下記のような要素の影響もありうるのです (参考文献 3) 。
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 甲状腺機能低下症
- ダイエット
- メンタルの影響による食欲低下
- 肝硬変
したがって、もしも「カロチンを食事や健康食品・サプリメントで取りすぎている覚えがないなぁ」という方に柑皮症の症状が出た場合、それは何らかの病気のサインかもしれません。病院を受診して相談してみましょう。
『柑皮症』と『黄疸』を見分けるにはどうしたらいいの?
また、柑皮症と間違えやすい病気として、『黄疸』があります。黄疸でも肌が黄色くなりますが、メカニズムは柑皮症とは全く異なり、『ビリルビン』という成分が血液中に増えることで生じます (参考文献 4) 。肝臓や胆のうなどの病気が原因となることが多いですが、溶血性貧血や Gilbert症候群 (ギルバート症候群) という名前の病気が黄疸を引き起こすこともあります。
柑皮症と黄疸を見分けるポイントは「目」を見ることです (参考文献 1) 。柑皮症では皮膚は黄色くなっても、白目の部分は黄色くなりません。つまり、白目まで黄色いならば黄疸で、目に異常がなければ柑皮症と言えます。黄疸の場合には病院で原因を調べてもらいましょう。
以上、今回の記事では『柑皮症』という症状について説明しました。基本的には怖い病気ではないのですが、何ヶ月間も肌が黄色く見えるのは嫌ですよね。
どれだけ食べたら柑皮症になるというのは個人差が大きく、「みかんは1日何個まで」のようなはっきりとしたデータはありませんが、美味しいみかんやカボチャでも、度を越して食べすぎないように注意しましょう。
また、もし症状が改善しないなど気になる点があれば、他の病気が潜んでいる可能性もありますから、一度病院でご相談くださいね。
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