メルセデス190はなかなか壊れない、生き残る意志の強いクルマだから、現在も数多くのW201が日常的に使用されている。誰も抑えることのできないベンツ、オールドタイマーの40歳の誕生日を祝う。
メルセデス190(W201)は、徐々に現役を退き、Hプレートを持つクラシックカーとして第二の人生を歩み始めている。「Baby Benz」の良さは、誕生から40年経った現在でも、天候に左右されることなく、オーナーの日常を支え続けている個体が多いことだ。静かで、信頼性が高く、壊れにくい。当たり前のこと?どちらかというと、感覚的なものだ。しかし、これはよく見てみると、まったく不思議なことではない。
「190」は、「形は機能に従う」の典型で、まだメルセデスがエンジニアのためのクルマを設計していた時代に作られた。スタイリストは、社員食堂のキッチンのような、質素で無駄のない、魅力を持つインテリアをデザインした。
メルセデスは「C111」にインスパイアされた5リンク式リアサスペンションの開発に労力を惜しまなかった。当時、一般的に使われていた設計法による製図では、サスペンションの描写が不十分だったため、1/300ミリの精度を持つ設計用コンピューターが調達されたのだ。60の車軸構造を設計し、テストを行った。
エンジニアが細部にまでこだわった190のセッティング
そして、細かいところでも、ベンツボーイズがいかに緻密に「190」をセットアップしていたかがわかる。ハブキャップの内側には、ブレーキ冷却のためのベンチレーションウィングが設けられている。ただ一つ、技術者が見落としていたことがある。それは、顧客すなわちユーザーが4ドアの車に期待するのは、4人乗りであるということだ。いくらメルセデスが「W201はコンパクトカーとして理解してください」と説明しても、だ。
直列6気筒までの縦置きエンジン、後輪駆動、ブランドらしい高い衝突安全性など、4.42mの全長に妥協の余地はなく、ニールームも確保された。だが、ミドルレンジのシリーズに対して顕著な価格優位性を確保することはできなかった。1983年、90馬力の「E」なし「190」は、W123の200よりわずか279.30マルク(約2万円)安いだけだった。
よく手入れされたW201は、実質的に不滅である
「W123」の多くと「W124」の一部は初期に腐食が見られたが、「190」はずっと元気だ。手入れの行き届いた「W201」は、小物入れの蓋が軋む前に、帝国の興亡を見ることができる。と言われるほど頑丈だ。そこに「190」最大の魅力がある。優れたサスペンションの快適性だけでは品質が物足りないという人には、かなり退屈な出来事だが・・・。
90馬力のキャブレターが好き
ベーシックな「190」の90馬力のキャブレターエンジンは、スロットルの開度に従順で、プログラムなしの4速オートマチックは、低回転で押し出すのが好きなようだ。ドライビングプレジャーとは大きく異なるが、それは決して「190」の趣旨ではない。そして、それをオタク的だと非難する人たちは、それを理解したことがないのだ。
メルセデス190はどのようにして生まれたのか
1982年12月、メルセデスは「W201」シリーズを「190(90馬力)、190 E(122馬力)として発表した。この年、数千台が生産されたが、ジンデルフィンゲンとブレーメンで連続生産が始まったのは1983年初頭である。この年、190D(72馬力)と190E 2.3-16(185馬力)が登場し、シンプルな「190」は105馬力になった。
1985年以降、「W201」には触媒コンバーター付のほか、「190E 2.3(136馬力)」、6気筒「2.6(160馬力)」、5気筒ディーゼル「2.5(90馬力)」も設定された。1年後、ターボチャージャーで122馬力にパワーアップした。1987年: 2.5-16(204、1988年から195馬力、2018年からHクラシックカーライセンスプレート対象)。
1988年には、有名な「サッコ(Sacco)プレート」が登場した
1988年5月、「190」は唯一のメジャーモデルアップデートを実施した。サイドバンパーバー(サッコプレート)、フロントのシートベルトの高さ調整、右側エクステリアミラーの電動化、スプリングコアからフォームに変更されたシートなどが採用された。キャブレター付きの「190」は1990年に廃止され、「190E 1.8(109馬力)」に置き換わった。1992年以降は、1993年に生産が終了するまで、特別モデル(DTM 1992、ベルリン2000、190E 3.2 AMG、アバンギャルド)が橋渡しをした。
【1982年製メルセデス・ベンツ190のテクニカルデータ】
・ エンジン: 直列4気筒(チェーン駆動式)、縦置きフロント ・ オーバーヘッドカムシャフト1本、チェーン駆動、シリンダーあたり2バルブ、ピエルブルグ フラットフローキャブレター1基 ・ ボア×ストローク: 89.0×80.25mm ・ 排気量: 1997 cc ・ 圧縮比: 9.0:1 ・ 最高出力: 90PS@5000rpm ・ 最大トルク: 165Nm@2500rpm ・ 駆動系/シャシー: 4速マニュアル変速機(5速または4速オートマチックも選択可能)、後輪駆動 ・ ダンパーストラット、ウィッシュボーン、アウトボードコイルスプリング、アンチロールバーによる独立フロントサスペンション、ウィッシュボーン、トレーリング&プッシュロッド、タイロッド、コイルスプリング、アンチロールバー(トレーリングアーム軸) ・ ディスクブレーキ: フロントとリア ・ サイズ: ホイールベース: 2665mm ・ L/W/H: 4420/1678/1350mm ・ 乾燥重量: 1080kg ・ 性能/燃費: 0-100km/h加速: 13.8秒 ・ 最高速度: 170km/h ・ 平均燃費: 1.3km/ℓ(AT仕様) ・ 新車価格: 25,538マルク=約190万円(1982年当時)
190のプラスとマイナス
「190」は、自動車製造の黄金時代に生まれたもので、少ない電子機器、確かな技術、優れた防錆力、丁寧な仕上がりが特徴だ。デビューから40年経っても、この小さなベンツは少しも古さを感じさせない。
初代モデルでも、ABSやエアバッグは有償で用意されていた。運転挙動や快適性は、今日でも高い水準にある。ガソリンエンジンは、コールドランニングレギュレーターで簡単に排出ガス規制「ユーロ2」に移行することができる。
最大の欠点は、スペースが足りないことだ。経年劣化による錆は、1988年以降のモデルよりも最初のシリーズに多く、整備不良の個体にのみ見られるが、これから購入する人は、デフ、ステアリング、サンルーフをチェックすべきである。
これがスペアパーツの状況だ
状況は良いのだが、買い替えはそれほど安くない。現在もメルセデス・ベンツ・クラシックを通じて関連部品を供給しているが、16バルブ「2.3-16」や「2.5-16」といった希少モデルには、高額な値段がついているのが現状である。
リサイクル業者からスペアパーツがまだ入手できるはず
しかし、もっと安い方法がある。整備士が独立したディーラーやスクラップヤードから部品を調達することができるのだ。運が良ければ、190万台近く製造された部品の中から、入手困難な部品も見つけることができる。数台しかオーダーされなかったレアカラーやディテールのドアパネルなども見つかる可能性がある。
我々からの推薦状
生産終了から32年経った今でも、ドイツでは何千台もの「190」が走行している。それに伴い、提供されているクルマの種類も豊富だ。不必要に修理代が嵩まないように、4気筒のガソリンエンジンで走行距離が少なく、サンルーフ、オートマチックトランスミッションのものを探してほしい。本当に良い状態でも、1万ユーロ(約145万円)もしない。H(クラシックカーライセンス)ナンバーになった途端、またディーゼルが面白くなってきた。
Text: Sebastian Renz and Lars Hänsch-Petersen
Photo: autobild.de