2023年、BMWのファクトリードライバーに復帰するマキシム・マルタンは、BMWが掲げる「レースに関する長期的なビジョン」に突き動かされたことが復帰の理由であると語った。
ベルギー籍のマルタンは、2013年から2017年にかけてBMWに所属しており、今回は2度目の在籍となる。
以前の在籍期間におけるハイライトは、DTMでの3レース優勝、そして2016年のスパ24時間レースでフィリップ・エング、アレクサンダー・シムスとともに総合優勝を飾ったことだ。
マルタンはその後、2018年からアストンマーティンと契約し、2020年のル・マン24時間レースではGTEプロクラスで優勝、またIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権ではハート・オブ・レーシングチームのロマン・デ・アンジェリスのGTDタイトル獲得に貢献した。
BMWに復帰する動機について尋ねられたマーティンは、2023年から始まるLMDhプログラムにおける役割の可能性についてはあまり考えておらず、代わりに他の要素を指摘した。BMWは2023年、IMSAのGTPクラスにLMDh車両『M ハイブリッド V8』を投入。2024年にはWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスにも、同車両で参戦を予定している。
「LMDhが復帰のキーポイントだとは言わないよ」とマルタン。
「それよりも、レースにおける未来と長期的なビジョンを持っていることだと思う。BMW MとBMWモータースポーツがより一体化し、長期的なビジョンを持つようになったことも、僕がレースやスポーツに対して長期的なビジョンを持つメーカーに戻ることの一部だと思う」
「それが重要なことだった。もちろん、LMDhはこのビジョンの一部ではあるが、重要なポイントではないんだ」
「僕は5年間、BMWを離れていたが、常に良い関係を保っていた。この5年間は常に連絡を取り合い、パドックでいつも顔を合わせてコーヒーを飲んだり、他のドライバーと楽しく話し合ったりしていたんだ」
「そして5年経ち、合意に至った。BMW側にとっても、僕にとっても、一緒に仕事をするようになったのはいいタイミングだったと思っている。戻って来られてとてもうれしいし、素晴らしい未来が待っていると思う」
マルタンは来季の参戦プログラムについて口を閉ざし、いくつかの長距離レースに参戦することだけをほのめかしている(その後、チームWRTからのバサースト12時間、およびGTワールドチャレンジ・ヨーロッパへの参戦は発表)。
「まだ決まっていないんだ。多くの選手権でGT3レースに参戦することは間違いないだろう。どこで、どのレースに出るかはまだ決まっていないが、耐久レースが多くなるのは確かだ」
「戻ることができて、とてもうれしいよ。ファクトリーにいる多くの知り合いと再会できるのもうれしい。ドライバーはほぼ全員知っているしね。知っているマニュファクチャラーに戻るのは簡単なことだよ」
■LMDhと同時にGT3参戦も希望するフィリップ・エング
一方、2016年のスパ24時間優勝時にマルタンのコ・ドライバーのひとりだったエングは、2023年のウェザーテック選手権GTPクラスにおけるBMW MチームRLLのプログラムで、フルシーズン参戦するドライバーに指名された。
2024年以降、WECに転向する可能性はあるかと尋ねられたエングは、当面は北米に留まることを希望していると示唆した。
「少なくとも今後2年間はそこ(IMSA)に留まるのが筋だろう」とエングは語った。
「まず第一に、僕らは勝利とチャンピオンシップのために戦っているが、一方で何かを構築したい。とくにプログラムが新しいものである場合、人間の面での安定性は非常に重要だと思う」
「BMWが僕に対してどんな計画を立てているかは本当に分からないけど、自分の希望を言うなのなら、2年間そこに参戦すること、だね」
元DTMドライバーのエングは、GTPと並行してGTワールドチャレンジ・ヨーロッパにも参加したいと語っている。
「GT3プログラムにも、ぜひ加わりたいね」とエング。
「僕はGT3でレースすることも、本当に楽しんでいるんだ。でも、まだ決まっていない」
「日程的には、うまくいくだろう。DTMとは違うけど、GTワールドチャレンジのエンデュランス・カップとは、(日程の調整が)うまくいくと思う。でも、まだ何も決まっていないんだ」
さらにエングは、32歳にしていまだ果たせずにいる耐久クラシックの大舞台、ニュルブルクリンク24時間レースでの優勝にも望みをかけている。
「信じられないことだ。2016年から挑戦しているけど、うまくいったことがない」とエング。
「本当にニュルで勝ちたいんだ。ニュルとル・マン。その両方で勝てたら、最高だね」