1月30日、スーパーGT GT500クラスに参戦するTGR TEAM SARDの脇阪寿一監督が、愛知県警察本部交通部高速道路交通警察隊の“一日隊長”として、高速道路交通警察隊の隊員たちにレーシングドライバーとして運転講習を行った。
この運転講習は、レーシングドライバーとしても活躍する脇阪監督が「普段から交通安全や交通事故撲滅に取り組んでいる警察官に、レーシングドライバーの運転技術を伝え、警察のみなさんと社会に貢献をしたい」という話を行ったことからスタートしたものだ。脇阪監督の思いに共感した関係者たちが愛知県警本部に相談を行い、さらに愛知県警本部交通部高速道路交通警察隊の第44代隊長を務める渡邊教義氏の理解も得られたことから、今回の運転講習が実現した。
そして30日に愛知県の幸田サーキットで行われた講習会では、『どのようにクルマを操るか』をテーマに、“寿一隊長”がスラロームや急制動、コーナリングなどのドライビング訓練を実施。しかし、普段隊員たちが行っている通常の訓練とは異なり、“クルマの限界領域を超えた範囲”での訓練が実施されたという。
![高速道路交通警察隊の隊員たちに運転講習を行う脇阪寿一](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132101/asimg_IMG_4945_6663d9e8ac8a05c-660x440.jpg)
![高速道路交通警察隊の隊員に運転講習を行う脇阪寿一](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132105/asimg_IMG_4941_8763d9e8b04360a-660x440.jpg)
寿一隊長は「あらかじめパイロンのスラロームを設置してもらいましたが8メートルほどの間隔でした。それですと僕らレーシングドライバーの感覚では、ほぼ止まるくらいのスピードでステアリングを切る状況だと思います」と訓練を振り返った。
「そのスピード域では多少タイヤが滑ったりアンダーステアが出ても、スピードがそこまで高くないので、挙動が乱れても一瞬で収まってしまいます。そうなってくると、そのスピードの範囲でしか訓練を行うことができないですし、いつまでたっても“タイヤのグリップ外”の挙動を経験できないのではないか、ということを感じました」
そう感じた寿一隊長は自ら「パイロンの間隔を広げる」ことを提案し、隊員が通常行う訓練時よりもスピードを上げた状態での訓練を実施。そのなかには「レースで使用するような手法」の訓練も行ったという。
「スピードが上がるとクルマとタイヤの限界が超えてしまうときがあると思います。そのスピード域の訓練を通常とは別に行うことで、クルマとタイヤが持つ限界の“外側”を経験してもらいたかったんです」と寿一隊長。
「警察官の方々にはクルマと対話をしながら、手のひらでフロントタイヤを感じ取り、背中でリヤタイヤを感じるという、レースで使うような手法の訓練を行わせていただきました」
![高速道路交通警察隊の隊員がハンドルを握るクルマの助手席に乗り込み運転講習を行う脇阪寿一](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132109/asimg_IMG_4936_cf63d9e8b55bd08-660x440.jpg)
![黒色のトヨタ・クラウンの助手席には脇阪寿一も同乗し、後方からパトカーに追われるという訓練も実施された](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01143939/asimg_IMG_4937_5563d9fb1aa1761-660x440.jpg)
この普段とは異なる訓練内容に交通警察隊の隊員たちは笑顔をみせ、新鮮な気持ちで訓練を受け止めてもらうことができたという。さらに訓練には、隊員に指導する立場である教官も参加し、寿一隊長に質問を尋ねる場面もあった。
また、訓練会場となった幸田サーキットにはSARD GR86 GT1やSARD GRヤリスが搬入されていたこともあり、訓練中にはそんな“カスタムカー”をパトカーが追いかけるという展開もあったようだ。
今回の運転講習に対して寿一隊長は、「レーシングドライバーと警察官というと、似て非なるものというイメージがあるかもしれませんが、打ち合わせの段階から歓迎してくれましたし、訓練中も臨機応変に対応していただきました」と愛知県警に感謝の言葉を述べた。
「僕も最初は『失礼かな?』と思って言葉に気を使いながら訓練を行っていましたが、逆に教官の方が生徒の前でも僕にどんどんと質問をしてくれました。そういった新鮮さも感じたので、これから先も機会があれば、レーシングドライバーの技術で社会に貢献できる取り組みをどんどんと行っていきたいです」
運転講習の様子はブログ『脇阪寿一の走らなあかん!』でも触れられており、ブログには寿一隊長が感じた思いなども綴られているため、こちらもチェックをお忘れなく。
![運転講習を行った脇阪寿一“隊長”と隊員たち。会場にはDENSO KOBELCO SARD LC500やサードのカスタムカーも搬入された](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132111/asimg_IMG_4932_8f63d9e8b6e6695-660x440.jpg)
![講習会ではパトカーや覆面パトカーに使用されるトヨタ・クラウンを用いて脇阪寿一が運転講習を行った](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132106/asimg_IMG_4940_f663d9e8b1ed5ab-660x440.jpg)
![高速道路交通警察隊の隊員たちに座学で運転講習を行う脇阪寿一](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132103/asimg_IMG_4949_c163d9e8ae59665-660x440.jpg)
![講習会では愛知県警高速道路交通警察隊の渡邊教義隊長から脇阪寿一に対して“一日隊長”の委嘱状が授与された](https://cdn-image.as-web.jp/2023/02/01132059/asimg_IMG_4953_2663d9e8ab2f65f-660x990.jpg)