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人間性に根ざした作風で知られる石田波郷に、こんな秀句がある。「かすかにも胸いたみつつ去年今年」。俳人は戦後、肺の病が悪化し、長く伏せっていた。生命の危機は脱し、再起への希望が兆す。だが、胸のうずきは続くのであった。新しい年を迎えてもなお……。 ▼彼の境涯を知る愛好家なら、病状の句…