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大前純史・画第一章 北堀江にて 十二 (文・永井紗耶子) 鶴冨美(つるとみ)は毅然(きぜん)として甚五郎(じんごろう)を見上げた。 「それは困りましたなあ。この子は今、そこの曲がり角で事もあろうに、大坂城代(おおさかじょうだい)お気に入りの谷風(たにかぜ)関の足を踏みましたんや。もし…