ポルシェLMDhファクトリー・モータースポーツ・ディレクターであるウルス・クラトレによると、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)はプログラムにとって困難なデビューレースを経て「多くの教訓を得た」という。
ドイツとアメリカの連合ワークスチームは、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの開幕戦として行われたデイトナ24時間レースで新型LMDhマシン『ポルシェ963』を走らせたが、2台両方のクルマにメカニカルトラブルが発生。このうち、ニック・タンディ/マシュー・ジャミネ/デイン・キャメロン組6号車はギアボックス故障が原因でリタイアとなった。
一方、姉妹車でフェリペ・ナッセ、マット・キャンベル、マイケル・クリステンセンが乗り込んだ7号車は、ハイブリッドシステムのバッテリー交換とウォーターパイプの破損によるタイムロスを経て、総合14位/GTPクラス7位でフィニッシュした。
レース直後の記者会見でクラトレは、タンディが16時間目にスピンしてフロントスプリッターとリヤディフューザーを破損し、3周の後れを取るまで優勝争いに加わっていた6号車を襲ったギアボックス問題の「根本原因」を調査中であると語った。
また、クラトレはレース全体について、「ここで多くの教訓を得た」と述べた。
「レース前に3万キロも走ったのに、このクルマで初めて見る問題などがたくさんあった。分析すべきことは山ほどある」
LMDh車両のデビュー戦ではライバル陣営のアキュラが、メイヤー・シャンク・レーシングの60号車とウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの10号車によるワン・ツー・フィニッシュを果たしたが、クラトレは、もしポルシェが問題に直面しなければ、最終的にアキュラARX-06と戦う可能性があったことは「興味深い」と語った。
「アキュラは我々よりも少し速かったが、(963も)最終的にはかなり競争力のあるペースを持っていた。面白いレースになっただろう」
「アキュラはおそらく最速で、その後に我々、キャデラック、そしてBMWが続いたが、タイヤの使い方はどうだったか、誰がどのタイヤを使っていたか、何周していたか、その前に2本、4本とタイヤを交換していたかなど細かく分析する必要がある。これらの分析は大変なんだ……」
「アキュラは素晴らしい仕事をした。2台のマシンで、大きな問題もなくレースを制したのだからね」
■次戦セブリングに向けた追加のテストは確認中
クラトレは、ふたつのGTP車両がノースカロライナ州モーズビルのPPM北米ヘッドクォーターに戻れば「多くの報告会」が行われると述べ、レースの結果をもとにテスト計画さえ変更される可能性があると示唆した。
PPMのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは、レース前にSportscar365に対し、2月中旬にセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われるIMSA公認テストに両車が参加する予定であることを確認した。
その他のテスト機会については、現在検討中であることが理解されている。
「テスト計画はつねに動いている」とクラトレは言う。
「このイベントの後、どのようにテスト計画を変更するか、それは私たちが慎重に考えなければならないことのひとつだ」
「レースの結果次第でテスト計画を確定させるということも、事前に考慮されていたことだ。悪い結果になると予想していたわけではない。だが、ドアを開けておくことはつねにいいことだ」
「いずれにせよ数日間のテストがあるだろう。それが4日なのか6日なのかは分からない」
WEC世界耐久選手権プログラムのデビュー戦でもある次戦セブリングで、ポルシェはどのように挽回するのかと尋ねられたクラトレは、運気の向上を期待していると答えた。
「私たちは迅速に学び、すべての問題点から答えを出し結果を出すだろう」
「レース結果が変わってくるかどうか? そうだといいね。私たちはできることを何でもやるから、今回とは違う結果になるはずだ。約束するよ」