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 ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長のデビッド・ソルターズは、トラックテストでの『アキュラARX-06』のこれまでの連続走行時間は、ワン・ツー・フィニッシュを果たしたデビュー戦デイトナ24時間レースを前に「4、5時間」であったことを明らかにした。

 1月28~29日にアメリカ、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦に参加した4社のLMDhメーカーのうち、アキュラはこのプラットフォームのローンチシーズンに向けて、24時間または36時間の耐久テストを行わなかった唯一のブランドであった。

 その代わり、広範囲にわたる静的ベンチテストとシミュレーション、トラック上でのセッションが数多く行われたが、連続した走行テストに関してはデイトナ24時間の長さには及ばなかったとソルターズは説明した。

「もちろん我々はマイルを重ねた。しかし、1回のテストでロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間)に匹敵するほど長くは続かなかった」

「私たちはこのゲームを知っているので距離を走った。実際にはある種の(継続的な耐久テスト)のためにその機会を得ることができなかったが、クルマを作るときには、つねにバランスが重要だ」

「私はいつも速いクルマを作る側に回っていた。だから、おそらく1回の連続走行は4、5時間だったと思う。それを確認する必要があった。私たちはそれを何度も繰り返したんだ」

「それからダイノでは、フルハイブリッド・パワートレインがあった。これは何万マイルも走ったし、クルマも数万マイルの距離を走った。ただ、まとめ切れていなかっただけなんだ。でも、どうやら大丈夫そうだね!」

 メイヤー・シャンク・レーシングとウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートのアキュラARX-06は、レースで優勝した60号車がギアボックスの温度上昇を乗り越え、両車とも事前に計画されていたオイル・フラッシュ(オイル交換)を何度も行い、大きな故障もなくレースを走りきった。

 トム・ブロンクビストは、MSRアキュラがより長い距離を走ることを可能にするエネルギー効率を高めるドライブをしながら、レース中のファステストラップとなる1分35秒616を記録した。これはもっとも近いライバルよりコンマ3秒速いタイムだった。

「今となっては、BoPについて話す必要もなく、(皆)同じだったということが素晴らしいことだと思う」とソルターズ。

「エアロボックスも同じ、リヤアクスルのパワーも同じ、車体重量も同じだった」

「それを知っていたので、2年前にルールブックを手にしたとき、『どうすれば最高のマシンを作れるか』と言ったんだ」

ラップダウンから挽回し総合2位となったコニカミノルタ・アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート)
ラップダウンから挽回し総合2位となったコニカミノルタ・アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート)

■“最高のクルマ”を作ろうとしただけ

 ソルターズは、「エンジンのパッケージングや、まったく新しいハイブリッド・パワートレインを作った事実を見てみると……最高のクルマを作ろうとしただけなんだ」と述べた。

「あらゆる場所でこのような小さな違いを探しており、私たちはそれを私たちが許されていることの枠内で行おうとした」

「私は幸運にも複数のレジェンドと一緒に仕事をしてきた。例えば、軽さと重心の低さは良好で、クルマの中央部はかなり良かった。重量配分に関してはかなり洗練された方法論を見ることができる」

「クルマはパーツの集合体だから、我々はひとつひとつのパーツに集中した」

「このようなものに決定的な証拠はない。速いクルマにするための細かな部分はたくさんあるが、私たちはできる限り最高のレースカーを作るためにそれぞれに集中した。私たちはそれができたと思っている」

■ソルターズ、初レースでGTPの信頼性に「驚かされた」

 先のデイトナ24時間では1台を除いてすべてのGTPマシンが完走を果たし、懸念事項であったハイブリッド関連の問題に遭遇したのは、7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)と25号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)の2台だけだった。最終的にこの2台は修理を受けてレースに復帰している。

 ソルターズは、デビューレースまでの準備段階で全メーカーが心配した末の信頼性の高さに驚いたという。

「『驚き』というのが正しい表現だろう。これらは洗練されたクルマなので、誰にとっても簡単なことではない」と同氏。

「ハイブリッドが収められる場所は本来それに向かない場所だ。暑すぎたり、振動したり、レーシングカーでやることすべてが好ましくない」

「各グループが本当に良い仕事をしたと思う。そしてハイブリッドシステムのサプライヤーが良い仕事ををしたことの証だと思う」

「それは簡単なことではない。見たりするのはいつだって簡単だが、実際にするのは、それよりもずっと困難だ」

「(我々は)本当によくやったし、レース中ずっと戦い続けた事実は素晴らしいと思う。こうなるとはまったく予想していなかった」

メイヤー・シャンク・レーシングw/カーブ・アガジャニアンの60号車アキュラARX-06
メイヤー・シャンク・レーシングw/カーブ・アガジャニアンの60号車アキュラARX-06