新車の納期が遅延している昨今、納期が早いのは、ハイブリッド車よりもガソリン車だ。クルマによって異なるが、ハイブリッド車が1年以上、ガソリン車は半年以下ということもある。しかも価格が安い! ガソリン車じゃダメなのか!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ、日産、ホンダ
■ガソリン車はハイブリッド車よりも安く納期が早い
ガソリン車の納期とハイブリッド車の納期はどのくらい違いのか? 同じ車種のなかに、ハイブリッド車、ガソリン車がある車種について比べてみた。
まずはトヨタノア。首都圏のトヨタディーラーに聞いたが、ノアのガソリン車の場合、パノラミックビューモニターありが1年以上、なしが6カ月~8カ月。
いっぽう、ハイブリッド車はパノラミックビューモニターありが1年6カ月、なしが1年~1年2カ月。
半導体不足による生産の遅れが、今後どのように変わるのか、予測できないが、おおむね、ガソリン車のほうがハイブリッド車より6カ月ほど納期が早くなっている。これはデカい。
続いてステップワゴン。首都圏のホンダカーズに聞いてみたが、半導体不足による生産の遅れで流動的と前置きしつつ、e:HEVは1年程度、ガソリン車は約8カ月~10カ月程度。またマルチビューモニター装着車やスパーダプレミアムラインは1年2カ月以上の納期。「やはりe:HEVのスパーダの人気が高いですね。人気のグレードのスパーダは生産台数が多いので納期は早くなる傾向にありますね。ただしマルチビューモニター装着車は納期が遅くなります。」とのことだった。
人気が集中しすぎて受注停止していたヴェゼルe:HEV pLayはどうなっているのか? ヴェゼルの納期は、ガソリン車が約6カ月~7カ月程度、e;HEVは1年程度となっている。
首都圏のホンダカーズの営業マンは「e:HEV pLayは新規オーダー受付を一時停止している状態です。半導不足による生産の遅れが影響しております。誠に申し訳ありません」。
ヴェゼルもおおむね、ガソリン車とハイブリッド車の納期の違いは、おおむね半年ほどガソリン車のほうが早くなっている。
■主要モデルのガソリン車/ハイブリッド車の納期(2023年1月末現在、首都圏ディーラー調べ)
●ノア=ガソリン車はパノラミックモニターありが1年以上、なしが6~8カ月。ハイブリッド車はパノラミックビューモニターありが1年6カ月、なしが1年~1年2カ月
●シエンタ=3月の決算期に向けて増産中。ガソリン車が3カ月程度、ハイブリッド車が推奨グレードなどグレード差はあるが6カ月~10カ月
●ハリアー=ガソリンS、Gが7カ月以上、ハイブリッドのS、Gが8カ月以上
●カローラ=ガソリン車は2~3カ月、ハイブリッド車は4~5カ月
●ヤリスクロス=ガソリン車は10カ月程度、ハイブリッド車は1年以上
●ライズ=ガソリン車は6カ月程度、ハイブリッド車は6カ月以上
●フィット=ガソリン車は半年程度、一部のタイプ、カラーは2~3カ月。ハイブリッド車は半年以上、一部のタイプ、カラーは2~3カ月
●フリード=ガソリン車は6カ月、一部のタイプ、カラーは1~2カ月。ハイブリッド車は6カ月程度、一部のタイプ、カラーは1~2カ月。
●ステップワゴン=ガソリン車が8カ月~10カ月程度、e:HEVが1年程度
※納期は時期、地域、販売店によって異なります。詳しい納期についてはお近くの販売店にお問い合わせください
■ガソリン車とハイブリッド車の価格差は年間走行距離でモトは取れるのか?
これは由々しき問題だ。前提としてハイブリッド車は高く、ガソリン車は安いのは誰が見てもわかるのだが、その価格差でモトは取れるのか気になるところだ。
例えばノアの場合、ハイブリッドS-Z(2WD/7人乗り)が367万円、ガソリン車のS-Z(2WD/7人乗り)が332万円。その価格差は35万円だ。
WLTC燃費として計算すると、ハイブリッド車は23.0㎞/L、ガソリン車は15.0㎞/Lと8kmもハイブリッド車のほうが燃費がいい。しかし35万円も高い。
年間でどのくらい走行すると35万円ぶんが、いつモトが取れるのかだが、5000㎞走行の場合、1リッター160円として計算してみると、ガソリン車は年間333L給油して5万3280円、ハイブリッド車は217L給油して3万4720円。
1年間5000㎞走行したとして、1万8560円ガソリン車のほうがガソリン代が高くなる。ハイブリッド車とガソリン車の価格差35万円を考えると、エコカー減税の差額(ハイブリッド車は3万円減税、ガソリン車は対象外)を差し引いても、約17年乗らないとモトが取れない。年間1万km走行した場合でも約8.6年と気が遠くなる……。
ステップワゴンの場合でもe:HEVスパーダが364万1000円、スパーダのガソリン車が325万7100円と、38万3900円、e:HEVのほうが高い。
WLTCモード燃費はe:HEVスパーダが19.6km/L、ガソリン車のスパーダが13.7㎞/Lと、5.9㎞/L、ハイブリッドのほうが燃費がいい。
こちらも年間5000㎞走行したとして、ガソリン代はハイブリッド車が255L給油して4万800円、ガソリン車が365L給油して5万8400円と、差額は1万7600円。この場合でも、エコカー減税(ハイブリッド車が3万円減税、ガソリン車が7500円減税)を差し引いても、モトを取るには約20.5年かかり、年間1万㎞走行しても約10.3年かかってしまう。
■走りにガソリン車とハイブリッド車との差はあるか?
例えばノアの場合、ハイブリッド車は1.8L+モーターで、エンジンが98ps/14.5kgm、モーターが95ps/18.9kgm(fFの場合)、ガソリン車は2L、170ps/20.6kgm。
アクセルレスポンスや初速、中間加速など、加速フィールはハイブリッドのほうが上だが、普通に街中、高速道路を走るぶんには、大差はないというのが正直な感想。
ステップワゴンの場合も同様で、加速フィールや高速道路で中間加速する場合など、トルク感があり、速さを感じるのはガソリン車(150ps/20.7kgm)よりもe:HEV(エンジン145ps/17.8kgm+モーター84ps/32.1kgm)のほうだ。しかし、こちらも普通に乗るぶんにはガソリン車で十分という印象。
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ガソリン車かハイブリッド車か、いったん足を止めて考えてほしい。納期はいずれのモデルもガソリン車のほうが半年ほど早く、30万円以上安い。
もし愛車の車検が切れそうな状態で、1年以上もハイブリッド車を待っていられるのか? ガソリン車を選んでもいいのではないかと思うのだがいかがだろうか? ただし、車種によっては装備差などによりガソリン車をおススメできない場合があるのでディーラーの営業マンとよく相談していただきたい。
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