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2023年の通常国会が23日スタートした。初日には岸田首相による恒例の所信表明演説が行われ、年明け早々にぶち上げた少子化対策については「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と改めて意欲をにじませたことがマスコミ報道では注目された。

しかし、今後の政策展開を占う上で、演説は何を話し、そして何に触れなかったのか、冷静に分析することが重要だ。

所信表明演説を読み上げる岸田首相(官邸サイト)

「将来世代への責任」増税“ステルス宣言”

特に岸田首相については、演説で使用を避けた“禁句”を見つけ出すことで政治意識が手に取るようにわかる。首相になって最初の登壇となった21年秋の臨時国会の所信表明演説では、「改革」の2文字を使わなかったことが政策通の間で話題になった(関連記事)。岸田氏は自民党総裁選の時点から「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」と述べていた通りになった。

そして今回の演説で使わなかった2文字はといえば、立民の大串博志衆院議員がブログで「あえて使わなかった」と指摘したように「増税」だ。

昨年暮れ、自民党内が荒れに荒れた防衛費倍増の財源問題について「歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などの行財政改革の努力を最大限行った上で」としながらも、「それでも足りない約4分の1については、将来世代に先送りすることなく、令和9年度に向けて、今を生きる我々が、将来世代への責任として対応してまいります」と述べた。責任というパワーワードにすり替えて事実上、増税への決意を表明した。

なお、余談だが、首相と財務省の「決意」の固さは野党にもバレバレだ。維新の音喜多政調会長は24日、演説を裏付ける財務省作成の「ポンチ絵」をツイッターに投稿して“暴露”した。「『税制措置』によって想定される不足財源を捻出することがすでに明記されており、選挙で信を問う以前に結局、財務省と総理の腹は決まっているという…」と国会の茶番ぶりに呆れたのは音喜多氏ばかりではあるまい。

そして今回の所信表明は「増税」以外にも核心を避けてお茶を濁している「岸田らしさ」がもう一つある。折りしも産経新聞が22日、「日本のGDP、今年にもドイツに抜かれ4位転落の恐れ」と題した記事を掲載し、ネットでも話題になったが、以前からドイツのある政策について注目してきた筆者は、岸田演説を読むにつれてある意味、「タイムリー」に思えてしまった。以下我が“所信”を説明しよう。

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