スクーデリア・フェラーリが、F1リザーブドライバーの役割を、昨年に続き2023年もアントニオ・ジョビナッツィに任せる計画であることがわかった。ジョビナッツィはWEC世界耐久選手権にフル参戦するため、彼が同行できないグランプリでは、テストドライバーのロバート・シュワルツマンがリザーブを務める。
フェラーリ傘下のジョビナッツィは、2017年にパスカル・ウェーレインの代役としてザウバーから出場し、F1にデビューした。2019年からアルファロメオでF1フル参戦活動をスタートしたが、2021年末でシートを失い、2022年にはフェラーリF1のリザーブドライバーを務め、フォーミュラEに参戦した。
2023年からWECハイパーカークラスに参戦するフェラーリは、今週、ドライバーラインアップのひとりとしてジョビナッツィの起用を発表した。一方でスクーデリアは、ジョビナッツィとのリザーブドライバー契約を2023年も継続する予定だ。WECとF1のカレンダーが重なる週末には、シュワルツマンが現地でスクーデリアのサポートを行う。シュワルツマンは、フェラーリで2022年と同様に、シーズンを通して主にシミュレーター作業に取り組むことになりそうだ。
2020年、2021年にFIA F2選手権に参戦したシュワルツマンは、2022年にはレース活動を行わず、2023年のF1デビューを目指して、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツから学ぶことに集中していた。しかしF1レースシートをつかむことができなかったため、今年は他のカテゴリーでレース活動を行うことを望んでいる。
しかしシュワルツマンにとって不運なのは、長年のスポンサーだったロシアのSMP銀行が彼への支援を打ち切る判断をしたことだ。SMPのオーナー、ボリス・ローテンベルクは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親しい間柄にあり、ウクライナ侵攻を擁護する立場にある。しかし、イスラエル生まれでロシア国籍を持つシュワルツマンは、ロシアのウクライナ侵攻の後、ロシア国籍ではなくイスラエル国籍、あるいは“承認された中立ドライバー”として活動するようになった。
シュワルツマンは、今年初め、チップ・ガナッシ・レーシングからインディカーのテストに参加し、優れたパフォーマンスを見せた。他のカテゴリーのチームとも交渉を行ってきたシュワルツマンだが、チームに持ち込める資金が少額であるため、契約を勝ち取ることができずにいる。今年のレース活動として最も可能性が高いのは、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズのプロ・アマカテゴリーで、裕福なアマチュアドライバーと組むことかもしれない。