2023年にデビューするBMWの新型プロトタイプカー『BMW MハイブリッドV8』の2022年最後のテストは、このクルマの初陣となるデイトナ24時間レースとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最初のシーズンに向けたレースの準備に焦点を当てたものであった、とBMW MチームRLL副代表のブランドン・フレイは語った。
北米耐久シリーズで2台のBMW MハイブリッドV8を走らせる同チームはクリスマス直前の2日間、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)にLMDhカー1台を持ち込んでテストを実施した。このときCOTAを走った個体は、12月初めにデイトナ・インターナショナルスピードウェイで行われたIMSA公認テストで完成したレースシャシーと同じものだ。
チームRLLがGTカテゴリーから2023年のウェザーテック選手権に新設されるGTPクラスへ移行するのを監督してきたフライは、COTAでのテストがマシンとチームの手順に関する多くの項目を検証するのに役立ったと説明した。
「COTAで実施したのは2022年内最後のテストだった」と同氏。テキサス州オースティンのトラックが選ばれたのは「チャンピオンシップのトラックではなく、多くの(新しい)ことに焦点を当てる」ためだったという。
「ある種の故障にどう対処すればいいかとか、ピットストップ作業とか(そういったことを確認した)。それは究極のパフォーマンスに関連するテストというわけでもなかったんだ」
「その代わり、デイトナに向けてできる限りの準備をするための最後のチャンスだった」
BMWは7月下旬にLMDhメーカーとしては最後にサーキットテストを開始し、その後の数カ月間にヨーロッパとアメリカを拠点とするプログラムを通じていくつか信頼性の問題に直面した。
インディアナ州のインディアナポリスに拠点を置くRLLは2022年9月に最初のテストシャシーを受け取った。それ以来、ボビー・レイホール率いる組織とドイツのメーカーにとって集中的な期間が始まった。
「マシンがアメリカに来てから、サーキットテストであれIMSAのホモロゲーション期間であれ、何らかのイベントに33日間参加した」とフライは説明している。
「(9月から年末までの)100日間のうちの33日目がCOTAで終了した。その間に多くの移動があった。クルマを走らせる時間もたくさんあった」
「最後のテストは『よし、すべてをレースモードにしてレースの週末に備えよう』と言えるものだった」
「そこではパワートレイン関連のことや、クルマ側でクリアしなければならないいくつかの問題、脆弱性についての学習にはほとんど(焦点が)当てられていなかった」
■公式テスト前に2台目のレース用マシンをシェイクダウンへ
フライは、開幕戦を前に行われるロア(IMSAの公式プレシーズンテスト)とそれに続く第1戦デイトナ24時間を前に、セブリング・インターナショナル・レースウェイで第2のレースシャシーをシェイクダウンする予定であることを確認した。
RLLのスタッフは、ウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦に向けて、今月は2日しか仕事を休まないという。この労働時間についてフライは、「それは大きなチャレンジであり、すべてのスタッフにとって大きな挑戦だ」と語った。
「本当にいい人たちがたくさん集まってくれていると思う。普通の日である現在は7時から19時までだが、レースとなればそれは長くなり週末にはより多くの仕事をこなすことになる」
■デイトナを終えれば少し楽になる
「私にとって、通常の年のこのチャンピオンシップの良さは、デイトナでレースをする準備ができていないことを露呈させることだと思っている」とフライは述べた。
「今年は(シリーズ全体で)64時間のレースがある。デイトナでのレースはその37パーセント強を占めるんだ。その後にはセブリング12時間レースがある。3月にセブリングが終わるころには、1年のレースの56パーセントを消化したことになる」
「(チームの)みんなに言い続けていることだ。それは大変な作業であり、みんながやってくれていることにとても感謝している。しかし、デイトナを終えたら少し仕事が少なくなるし、元には戻らないはずだ。セブリングを終えればもっと普通のレースに戻るだろう」
「このハードワークはクルマが来てからの(共通の)課題だ。我々だけではない。(IMSAのパドックの)みんながかなり疲労している」
「私たちはレースに行くことに興奮するだろう。なぜなら、これまでのハードワークの終わりに近づいているということを意味するからだ」