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<p>Game*Sparkレビュー:『絢爛舞踏祭』―芝村裕吏氏新作『LOOP8』発売前に捧げる、約20年越しのラブレター | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト</p><p>Game*Sparkレビュー:『絢爛舞踏祭』―芝村裕吏氏新作『LOOP8』発売前に捧げる、約20年越しのラブレター</p><p>「貴方はこれまでも、色々なゲーム世界を渡りながら平和を呼んできたはずです」――鮮烈なオープニングメッセージで幕を開けるPS2用シミュレーションを、今レビューします。</p><p>本作でプレイヤーが主に体験していくのは「夜明けの船」の船内での活動です。プレイヤーだけでなく、他のクルー達も意思を持っているかのように行動していて、仕事や訓練をしたり、お互いに交流したりしながら、日々を過ごしていきます。 本作において特筆すべきは、 「プレイヤーとクルー(AI)の人間関係」だけでなく「クルー同士の人間関係」も構築されていくシステムです。 「軍医と操舵手の仲が険悪になってきた」「整備士と艦長が人の気配がないところでやけに仲良くしていた」など、プレイヤーの数だけクルー同士の関係が構築され、独自の物語が紡がれていく点は、2023年の今においてもユニークです。 「AI同士の人間関係」で言えば、SF人狼ゲーム『グノーシア』も似た例として挙げられるでしょう。『グノーシア』では“人狼ゲーム1プレイ分”という短いスパンの人間関係、そして『絢爛舞踏祭』ではゲーム開始からクリアまでの約数十時間と、長期的な関係を築いていきます。 システム的には大きく異なるものの、NPCがお互いを気に入ったり嫌悪したりする様は、どことなく相似点に見えます。SF作品であることも相まって、筆者は『グノーシア』をプレイした直後に『絢爛舞踏祭』で過ごした「閉塞的な船」での生活を思い出しました。 艦内での生活 『絢爛舞踏祭』は「ほとんどが“海”と化した火星」という斬新な舞台設定を持ちますが、海中を冒険したり宇宙に飛び出したりすることはなく、実際のゲームプレイとしては艦内をひたすらうろつくことになります。 船を動かす主要スタッフが集まる「艦橋」、火星の海で戦うロボットを格納する「ハンガーデッキ」、巨大な潜水艦を動かすための裏方仕事が光る「機関室」など、手狭とは言えSFファンなら胸が躍るロケーションが揃えられています。 「MAKI」と一般の「BALLS」に感情パラメータは存在せず、チュートリアル&フレーバー要素に過ぎない。 プレイヤーは「MAKI」と呼ばれる船内AIとどこにいても会話でき、フロアには「BALLS」と呼ばれるめっちゃ進化したルンバみたいなロボットが駆け回っていたりと、SF的な描写はどちらかと言うと落ち着いたトーンです。 それを彩るUIは直線的なデザインが多く、BGMにおいては音数の少ないアンビエント/エレクトロニカらしいアプローチが強め。派手な装飾や演出に惑わされず、多くのプレイヤーがマイペースに「遠い未来の船内生活」を体験できるでしょう。 プレイヤーの仕事は“パイロットとしての戦闘”がメイン ■パイロットとしてのゲームプレイ そんな「夜明けの船」でプレイヤーが最初に与えられる仕事は、敵と戦う“花形”と言える部署「飛行隊」での任務です。この部署のメンバーは、ひとたび船が戦闘状態に入れば、刻一刻と戦況が変化していく中で格納庫へと駆けつけ(駆けつけない自由すら今作にはあります)スクランブル発進。“ラウンドバックラー”と呼ばれる人型兵器を操り、様々な敵と海中で交戦していきます。本筋とは関係ありませんが、海中が舞台なのに“飛行隊”というネーミングセンスに、発売当時高校生であった筆者はハチャメチャに痺れました。 発進後の敵との戦闘はリアルタイムで戦況が変わっていた船内から一転、ターン制へと変わり「トポロジーレーダー」と呼ばれるシステムを通して進行します。「速度」「深度」「機動」の3つの要素を相手方に近付け、魚雷や近接武器で攻撃していく……と言えば奥深いように聞こえますが、実際のプレイングは 「三角形の形をいい感じに変えていくパズル風のゲーム」</p>