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日本人は、暗号資産(仮想通貨)への投資スタンスも最も慎重--。SBIグループのシンクタンク、SBI金融経済研究所(東京・港区、政井貴子理事長)が27日に発表した消費者調査で、日本人が暗号資産に特にネガティブな認識を持っている傾向が浮き彫りになった。

D-Keine /iStock

調査は日本国内で1万人、さらにアメリカ、イギリス、ドイツ、中国、韓国の各国で2000人ずつ累計で2万人を対象に実施した。同研究所によると、暗号資産に関し、各国横断で行った消費者調査としては過去にない規模だとしている。

これによると、暗号資産を知っているかを尋ねたところ、日本は「他人に教えられるほど、詳しく知っている」「他人に教えられるほどではないが、ある程度の知識はある」が合わせて14.1%にとどまったのに対し、アメリカ(28.6%)、中国(20.0%)、韓国(33.9%)などだった。投資経験の有無についても、日本はあると答えた人が9.3%と低調だったが、韓国(30.7%)、アメリカ(29.1%)、中国(21.5%)、ドイツ(21.4%)、イギリス(20.7%)のいずれをも大きく下回った。

日本人が暗号資産に対し、慎重なことを窺わせるのが、「他人に教えられるほど、詳しく知っている」にも関わらず投資経験がないと答えた人が40.4%にものぼったことだ。ドイツも41.8%とほぼ同様だったが、韓国(14.4%)、中国(16.8%)、アメリカ(184%)イギリス(21.9%)と差が開いた。また、暗号資産を「詳しく知っている」と答えた人のネガティブな意見の平均値が、ポジティブな意見のそれを上回ったのは6か国で日本だけだった。

このほか学歴が高い人や金融資産が多い人ほど暗号資産の認知度が高くなる傾向は6か国とも同様だったが、NFTやステーブルコイン、セキュリティトークンに至っては、5か国の大半のケースで2桁以上の認知度があったの対し、日本はいずれも一桁に沈んだ。

他国と成功体験の差?

今回の調査を見る限り、日本は、世界的にもいち早く暗号資産の法的制度を整備したにも関わらず、投資意欲も“リテラシー”も低迷していることが鮮明になった。調査では「詳しく知っている人」が税制上の不利を挙げた人が6か国で最も多く、株式と同じく課税分離されずに税率が最大で50%の「雑所得」扱いになる現行制度の影響も根強いと言えそうだが、SBI金融経済研究所杉浦俊彦研究主幹が仮説に挙げるのはさらに根本的な「失われた30年」の心理的影響だ。

過去30年、日経平均株価は長らく3万円台を割り込み続けたのに対し、かつて同程度だった米ダウ平均株価は約13倍にも成長。「アメリカや中国とは(そもそもの投資全般の)成功体験が日本人と差があることが影響したのではないか」と杉浦氏。実際、株取引について尋ねた別の調査でも、アメリカや中国は値上がりの機会があるとポジティブに捉えていたという。ただ、他国の場合、暗号資産をよく知らないのに投資に挑戦する傾向もうかがえ、慎重な日本人と国民性の違いは一定度ありそうだ。

今回の調査はFTXの破綻が明らかになる前に実施されたが、2022年は暗号資産市場は中国で全面的に禁止され、アメリカもバイデン政権が規制強化の動きを強化。世界的にも暗号資産投資家の心理が冷え込む材料が続出した格好だが、同研究所の政井貴子理事長は、今後メタバースなどデジタル空間の普及を見据え「発展しないということは、なかなか考えにくい」と指摘。「為替もデリバティブもかつては限られた人たちだけが使い、試行錯誤しながら発展してきた。長期的に見て、暗号資産もドライブがかかる時もあれば、1歩下がったりしながら発展していくのは間違いない」と話していた。