今年は、世界中がロシアによるウクライナ侵攻に驚いた。結果、中国の台湾侵攻の可能性なども含めて、多くの日本人が防衛費の増額を必要だと感じることになり、次期23年度からの5年間の防衛費用は43兆円になった。
この数字は日本の国防費も、NATO加盟諸国並みのGDP2%であるべきだということから算出されたものだ。
1兆円の「いい加減」な増税
よって現実的に中国軍のどういった活動に対応しているのかなどについての特定性、具体性に裏付けられた数字ではない。つまり、この数字はとてつもなく「いい加減」である。そして岸田総理は、27年度以降、この防衛費のうち1兆円強を増税でまかなうことを表明した。この数字もまた、まったく具体性のない個人的な思いつきにすぎない。
そのことは、この1兆円増税に加えて、全体の不足総額である4兆円のうち、残りの3兆円は歳出削減や剰余金・税外収入などで確保するという、これまた特定性のまったくない想定と抱き合わせであることから明らかだ。まず筆者がここで言いたいのは、防衛費の43兆円も、あるいは1兆円の防衛増税も完全に恣意的であり、無意味であるということだ。
とはいえ、その後の自民党の決定によると、この1兆円という予算は、所得税、法人税、たばこ税から捻出することになった。そこで、ここでは本当に国防費としてさらに年間1兆円が必要であるという前提に立って議論を進めよう。
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