宮崎県知事選は25日、投開票が行われ、返り咲きがなるか注目された元職の東国原英夫氏(無所属)は得票率5%の僅差に迫りながらも、4期目を目指す現職の河野俊嗣氏(推薦:自民県連・立民県連・公明、支持:社民)にあと一歩及ばなかった。
東国原氏は今年8月に出馬を表明。順調だったタレントの仕事を休止し、故郷・宮崎に戻って4か月に渡って県内各地で遊説してきた。2007年に知事就任後のブームで絶大な支持を得ながら、1期限りで退任。直後に東京都知事選に出馬(落選)したことなどから、県内では「見捨てられた」との受け止め方が根強く、選挙戦前半までは逆風があった。
それでも選挙カーに「今度はやめん」というステッカーを貼ってアピール。出直しへの思いを真摯に説き続けるうちに、3期12年の河野県政からの変化を望む声を少しずつとらえ始めて情勢は上向きになった。選挙戦の最終週に入った段階では、報道各社の情勢調査で「追う」(朝日新聞)展開。少なくとも10ポイント前後は開いていたと見られるが、無党派層にじわじわと浸透。NHKの出口調査では終盤にかけて河野氏を上回る支持を集め始めていた。
選挙戦最終日には、元妻の女優、かとうかず子さんが初めて応援に入るサプライズもあり、ムードは最高潮に達した。しかし相手は与野党相乗りの圧倒的な組織力を擁する現職。出身地の都城市では東国原氏がトップに立つなど得票率5%差までに迫る大善戦したものの、わずかに及ばなかった。
東国原氏は「相手陣営の政党の壁は厚かった」と敗戦の弁を語った。15年前に初当選した当時、選挙参謀を務めた渡瀬裕哉氏はツイッターで「利権勢力が本気になった時だけ現れる、全党相乗りモード。 それ以外の普段の与野党対立など全て茶番に過ぎない」と日本の選挙の実情を喝破。続けて「東国原さんはこの国の腐った勢力の本気を引き出すだけの力があったということ」と健闘をたたえ、「この利権勢力の本質的な姿を引き出して粉砕した後にだけ、日本復活の未来が存在している」と自論を述べていた。