レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、レッドブルの成功へのセルジオ・ペレスの貢献を高く評価しているが、マシンのポテンシャルを最大に、もしくはそれ以上に引き出すことにかけては、ペレスはマックス・フェルスタッペンにおよばないという。
2022年、レッドブルは記録破りの1年を過ごした。このシーズン中にチームはF1の22戦中17戦で勝利を飾ったのだ。それでもメルボルンでの第3戦で2回目のリタイアを喫したフェルスタッペンは動揺し、フェラーリのシャルル・ルクレールとのタイトル争いは事実上すでに終わってしまったと確信していた。
しかしそれから15戦後の日本GPでは、フェラーリの自滅にも助けられ、フェルスタッペンは2度目の世界タイトルを獲得した。フェルスタッペンはその後アブダビで、1シーズンあたりの個人最多勝利記録となる15勝目を飾って、レッドブルのずば抜けた2022年シーズンを締めくくった。
コンストラクターズ選手権では、レッドブルはフェラーリに205ポイントという大差をつけた。今ではマルコは、フェラーリのミスやある程度の不運があったことから、レッドブルの仕事がやりやすくなったのだと認めている。
「我々は確かにフェラーリの戦略ミス、不運、エンジンのダメージなどから恩恵を受けた」とマルコは語った。
「シーズン中、彼らはタイヤをより多く使うようなマシン開発を進めた。そのために我々はレースフォーマットに大きな自信を持つことができた。3戦を終えて46ポイント差がついた時、我々は『今しかない』という気持ちになったのだと思う」
重量オーバーのマシンでシーズンをスタートしたレッドブルは、シーズンが展開するとともにRB18の軽量化に休むことなく取り組んだ。フェルスタッペンはこの変化によって本領を発揮できるようになったが、対照的にペレスは夏の間マシンに苦戦していた。
「それに加えて、我々のマシンは最初は20kgもオーバーしていた。それは、重量を減らせばコース上で確実にタイムを短縮できるはずのマージンだった」
「風洞では多くのダウンフォースを生み出すことができたが、あくまで理論の話だ。1kg減るごとに、実際にはタイムを伸ばすことができた」
「結果として、ドライビングの際の挙動も、フェルスタッペンが最適に活用できる形に変化した。マックスが限界までプッシュできて自信を持っている時は、他のドライバーが限界までプッシュしている時とは違ったものになる」
「我々のマシンはペレスと同じだ。そしてペレスは非常に優れたF1ドライバーだが、彼はフェルスタッペンではない」
マルコは、ブラジルでレッドブルのパフォーマンスが相対的に下がり、フェルスタッペンが6位、ペレスが7位という結果に終わったことを、レースウイークの形式と状況から妥当なことだった振り返った。
「ブラジルに加えて他のレースでも、シミュレーターのせいで最初のセットアップを完全に間違えたことがあった。だが我々はそれを修正することができた」
「ブラジルではスプリントフォーマットと雨に邪魔された。3回のフリー走行セッションのある通常のスケジュールであれば、我々はまた勝つことができただろう」