新型プリウスの話題でもちきりの2022年。新時代の幕開けを実感し、プリウスというクルマの凄さを、まざまざと見せつけられた形だ。ところがどうも販売面でのスケジュールが変更されつつあるという。果たしてこれは何を意味するのか?
文/ジョー城ヶ崎、写真/TOYOTA
■ラインオフが後ろ倒しに!? 販売スケジュールが遅れている模様
新型プリウスに関しては、ワールドプレミア前に国内販売店向けの発表までのスケジュールが立てられていた。10月後半には、既にワールドプレミアやラインオフ、そして販売店への展示車・試乗車の配車スケジュールを加味した、店頭発表会の予定までが発信されている(※以下スケジュールは筆者調べ)。
ワールドプレミアが予定通り行われ、事がスムーズに進めば、12月9日にはラインオフ(生産開始)、そして2023年1月10日に新型プリウスが記者発表(PHEVは2023年3月1日に記者発表)、1月28日には販売店で新型プリウスの姿を拝める店頭発表会が予定されていたという。
しかし、ワールドプレミアから3日後の11月19日、トヨタ販売店各社へメーカーから送られてきたのは、生産開始と店頭発表会延期の知らせだった。
変更後のスケジュールは、12月22日に生産開始(当初予定より約2週間遅れ)となり、販売店への配車時期が後ろにずれ込むことを予想してか、店頭発表会が2月4日(当初予定より6日遅れ)からとなっている。販売価格等の発表時期も、若干後ろ倒しされた格好だ。
開発の関係か、それとも資材調達等の遅れなのか、その理由ははっきりとわかってはいない。来年1月10日の記者発表は、今のところ変更なし。この遅れは、販売計画の中枢を揺るがすようなものではないようだ。
しかし、トントン拍子に販売まで進めることができなかったプリウスの状況を見ると、今の世の中が、いかにクルマの生産に対して厳しいものかが読み取れる。
厳しい状況ながらも、新しいクルマを数多く発表・発売してくれるトヨタ自動車の血のにじむ努力には心から敬意を表したい。これ以上の遅れが生じないことを切に願い、新型プリウスとの対面を待ちたいところだ。
■最大の努力をするも納期が縮まらないもどかしさ
新型プリウスの販売に関して、筆者独自に販売店への取材を進めていくと、いつものトヨタとは違う傾向が出てきていることが分かってきた。
まずは事前予約について。販社ごとに対応は様々だが、比較的多くの販売店で「事前予約は行わない」という回答が出てきている。その理由としては「混乱を避けるため」と、需給ギャップが大きくなることを見越し、早期に対応を決めているようだ。
「事前予約で注文すると、クルマが早く納車される」という至極当たり前の理屈が、今は通らない。かつては予約を入れれば、発売から1か月足らずで新型モデル乗れたが、今では蓋を開けるまで、初動の生産台数すら読めない状態。発売前に予約を入れても、1年後に納車というのが、今の当たり前なのだ。
しかし、予約を入れるユーザー側は、そんなことは微塵も思っていない。故に予約を入れたユーザーの期待に応えることが出来ないと判断したディーラーでは、「事前受注」や「予約」という概念を取り払い、納期未定のまま通常通り注文を受け付ける構えである。
一部販売店からは、2023年1月から6月までの予定配車数も出てきた。販売店の規模、保有ユーザー数、販売計画数などによってその数は上下するようだが、ハイブリッドモデルは最盛期1か月分の販社受注台数が、半年間で配車される程度。PHEVはさらに厳しく、配車枠全体の5%程度の台数だ。
「その数字は販社ひとつの数字ではなく、1店舗の半期の注文台数では?」と、筆者も目を疑った。プリウスも1~2年待ちが通常営業となりそうな雰囲気である。
コロナ・円安・海外情勢の不透明感などもあり、残念ながらメーカーの最大限の生産努力もなかなか実を結ばないのが現実だ。新型プリウスの国内向け生産体制も、なかなか厳しいようだ。
販売チャネルの中では、トヨタ店とトヨペット店が比較的配車枠にボリュームを与えられているようだが、それでも半年以内の納車枠を勝ち取るのには、かなり厳しい競争が強いられそう。
世界的にも、特に北米市場で人気の高いプリウス。実際に日本の街中で走行シーンを見られるのはいつの日か。30系の時のように、「石を投げればプリウスに当たる」と言われた時代が懐かしい。生産事情が落ち着くまでは、プリウスも高嶺の花となりそうだ。
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投稿 発表は新年1月末!? 最大限の努力も納期が厳しいか??新型プリウスのセールス最新情報 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。