近年どんどん選択肢が減ってきてしまっているのがコンパクトスポーツだ。環境性能の重要性が増した結果スポーツモデル自体が激減しているわけだが、いわゆる軽スポーツやコンパクトカーベースのホットハッチも生産終了が続いている。
今回はそんな状況でも、生き残っているコンパクトスポーツ3台をご紹介しよう。
文/斎藤聡、写真/ベストカー編集部
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■少し前までは豊富に選べたホットハッチ
いまや希少車種となってしまったコンパクトスポーツ。かつてはコンパクトカー≒2ドア/4ドアハッチということから「HOTハッチ」なんて言葉もあって、コンパクトで軽量なボディを生かして機敏に走るスポーティなクルマがたくさん用意されていました。
ところが、現在はどんどんスポーティなクルマが消え、走りの楽しさを前面に押し出したクルマが少なくなっています。
一つにはクルマ全体の性能が上がったことで、ことさらスポーティさを売りにしなくてもストレスなく思い通り走れるクルマが作れるようになったことも理由の一つなのだろうと思います。ただ、刺激的だったりワクワクするクルマが少なくなっているのはさみしい限りです。
とはいえ、絶滅してしまったわけではありません。というわけで、ここではいま買える走りの楽しいコンパクトカーベスト3を紹介してみようと思います。
3位はノートオーラNISMOです。価格的にも車格的にもコンパクト? という疑問がないわけではありませんが、モーター駆動の走りのいいクルマの登場という意味も含め挙げてみました。いやいや、モーター駆動のクルマが走りの楽しいコンパクトカーに挙がる時代が来るとは……。感慨深いものです。
もっともモーター駆動はものすごくポテンシャルを持っています。ノートオーラNISMOに搭載されるモーターは、最高出力100kw(≒136ps)、最大トルク300Nmと、パワーこそそれほど強力ではありませんが、3L車並みのトルクを発進時に発揮するのですから、加速の力強さはかなりのものです。
しかもNISMOチューンとしてボディ補強や、リヤのショックアブソーバーをスポーツドライブに向いたモノチューブ式に変更。エアロチューンも単なるドレスアップではなく、ちゃんとダウンフォースが得られるように設計されています。
またモーター駆動らしく、ドライブモードによって、出力特性を大幅に変更。ノーマルモーでは標準オーラよりも少し速い程度ですが、NISMOモードにすると、さらに一段加速性能が鋭くなっています。
モーターの応答性も鋭くスポーツドライブにあった味付けになっています。タイヤもプレミアムスポーツタイヤの「ミシュラン・パイロットスポーツ4」が装着されています。
日本ではモーター駆動車=エコ≒退屈、といったイメージを抱きがちですが、十分スポーティで楽しいクルマに仕上がっています。
■S660、アルトワークスなき今、軽スポーツはコペン一択
2位は軽スポーツの最後の砦、コペンです。2シーターオープンのコンパクトなボディを重心低く作ることで機敏な走りを実現しているクルマです。
エンジンは660ccの3気筒DOHCターボで64ps/92Nmのパワー&トルクは軽自動車そのものですが、可変吸気バルブタイミング機構のDVVTを採用することでトルクバンドの広いエンジンに仕上がっています。組み合わされるミッションもCVTのほか5速MTが用意されているのがうれしいところです。
もう一つ大きな特徴となっているのが、多彩な外観デザインです。D-フレームと呼ばれる高剛性な骨格を採用したことで外販を樹脂化してデザインの自由度を高め、ローブ、エクスプレイ、セロ、GR SPORTSの4タイプの個性的なグレードを用意。好みに合わせてコペンを楽しむことができます。
なかでも走りに特化してひときわ個性を発揮しているのがGR SPORTSです。
BBS製16インチ鍛造アルミホイールやGR SPORTS専用レカロシート、MOMO製本革巻きステアリングといった豪華装備を装着。
それだけでなく、サスペンションはGR SPORTS専用チューンが施され、フロアにフロントブレースとセンターブレースという補強フレームを装着することで、1段高剛性なボディに仕上げています。
■やはりこいつは外せない!! 永遠のスポコン スイフトスポーツ!!
1位には、やはりスイフトスポーツを挙げたいと思います。コンパクトスポーツの話になると必ず登場するスイフトスポーツですが、その度にそのコストパフォーマンスの高さに感心させられます。
何しろ価格は208万1200円(2WD/6速MT)で、コペンのGRスポーツよりも安いのです。もちろんコペンを貶めているわけではなく、コペンは価格の上昇を恐れずにユーザーがワクワクドキドキできる装備を用意して、走りの性能をグレードアップしているのが魅力になっています。
これに対してスイフトスポーツは徹底的に無駄を省き、だからと言ってチープにならず、走りの装備にはちゃんとコストをかけることでスポーツドライブのエントリーカーとしての役割も果たしています。
スイフトスポーツのリヤサスペンション形式はベース車のスイフトと同じトーションビーム式ですが、同じパーツではなく、スイフトスポーツはトーションビームの形状を高剛性に作り替えているのです。
さらに加えて、高剛性ハブユニットを開発し採用することで車軸の支持剛性を高めたり、ブッシュ類をチューニングすることで、走りの性能に磨きをかけているのです。
エンジンは1.4L直噴DOHCターボで140ps/230Nmを発揮します。圧縮比9.9、過給圧1.0は最近の直噴ターボと比べるとそれほど攻めた数値には見えないのですが、体感的にはカタログデータを超えるくらい迫力のあるパワー感や加速性能を見せてくれます。
その理由はターボの過給圧制御にあります。ターボは過給圧が上がりすぎるとウエストゲートバルブを開いて排気ガスを逃がして過給圧の上昇を抑える仕組みを持っているのですが、スイフトスポーツはこれを電子制御で行い、過給圧が下がりすぎず高回転域まで高い過給圧が維持できるように作られています。
これが高いギヤで高回転まで回してもパワーがタレず、鋭い加速を見せてくれる理由なのです。
剛性の高いボディに、しっかり作り込まれたサスペンション、強力なエンジンを200万円そこそこという価格で実現していることに感心させられます。しかも、走る楽しさや刺激がびりびり感じられるのです。スイフトスポーツには不動の1位と言いたくなる性能と魅力があります。
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投稿 やっぱスイフトスポーツの天下か!? 「狭い日本」でも走って楽しいコンパクト3選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。