2023年、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに『キャデラックV-LMDh』で参戦するチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)は、このWECプログラムのためにドイツに拠点を設ける予定だ。チームのオペレーション・ディレクターを務めるマイク・オガラによれば、ドイツでは現在インフラの整備が進められているという。
また、チームはWEC/ル・マン参戦に向けたアプローチを、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レースから採用する予定だ。
■元ポルシェLMP1スタッフをマネージャーに起用
これまでDPi車両で戦ってきたIMSAでのGTPクラス参戦と並行し、WECにも新型LMDh車両を投入予定のキャデラック。WECにはアール・バンバー/アレックス・リン/リチャード・ウエストブルックがドライブする1台体制で参入予定だが、シリーズハイライトとなるル・マン24時間レースには、ACOフランス西部自動車クラブの招待を待って、2台目のキャデラックV-LMDhを投入する用意があるという。
12月6〜7日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSA公認テストの際、オガラは「我々はマネージャーを雇った。彼の名前はスティーブン・ミタスだ。彼はポルシェLMP1プログラムに大きく貢献していた」と明らかにした。
「私は日曜日にはドイツに向かい、向こうのレースショップを見に行く予定だ。人事の面はまとまり、トレーラーなどあらゆることが急速に進んでいる」
「すべてが進行中なんだ」
2016〜2019年まで『フォード・チップ・ガナッシ・レーシング』という名のもとでのフォードGTのプログラムでは、イギリスに拠点を置くマルチマチック・モータースポーツがオペレーションを担っていたが、今回のLMDhはCGRにとってWECでは初の内製プログラムということになる。
「今回は100%、インハウスでの取り組みだ」とオガラ。
「スティーブンを雇うのは、WECの経験があり、彼がドイツに住んでいるからだ。マルチマチックのプログラムのときより、我々ははるかに大きく関与することになるだろう」
「我々はヨーロッパを拠点とする人々をスタッフとして持ち、レースウイークエンドはそこにアメリカからのスタッフも加わることになるだろう」
「だが、これはキャデラック・レーシングの“ワン・チーム”であり、全員が同じ考えを持っていることを確かにするための体制だ」
オガラによれば、WECチームの統合はIMSA開幕戦のデイトナ24時間から始まり、ハイパーカークラスに参戦する3人のドライバーとともにキャデラック・レーシングの02号車を支援することになるという。
デイトナにエントリーしているキャデラックの02号車は、3月のセブリング1000マイルレースからはWECのシーズンをスタートさせる予定であり、以降のIMSA参戦は予定されていない。
「WECのスタッフは我々のショップでマシン作りを手伝ってくれるし、デイトナにも多くのWECスタッフが来る予定だ」とオガラは語った。
「そして(IMSAとWECが併催される)セブリングへと向かい、ル・マンに2台で参戦したいと思っている。いずれはっきりするだろう」
■デイトナでも“3人体制”を採りル・マンに備える
CGRは1月のデイトナ24時間レースで、01号車、02号車の双方をドライバー3人体制で走らせる。これは、デイトナとは異なり、ドライバー4人体制を禁止しているル・マンのルールを見据えての決断だ。
「ル・マンでは3人のドライバーしか走らせることができないから、デイトナはドライバーのローテーションのリズムをつかむのにいい機会だと思うし、彼らがどのくらいの時間マシンに乗っているかなどの面でも、慣れることができる」とオガラは説明する。
「我々は3人でデイトナを走ったこともあるし、4人で走ったこともある。それぞれに利点があるんだ。今回は、耐久レースのラインアップをスタートさせ、デイトナ、セブリング、ル・マンと続けていきたかったのだ」
CGRがIMSAをベースとする(2台)体制でル・マン24時間へのエントリー要請を出したかどうかという質問に対して、オガラは「キャデラックが決めることだ」と答えている。
「我々の側ではできる限りの準備をしようとしているだけだ。じきに分かるだろう」と彼は付け加えた。
同じくキャデラック陣営であるアクション・エクスプレス・レーシングもル・マンへのエントリー申請をしているようだが、CGRの2台目の車両と同様、参戦にはACOの承認が必要とされる。