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評・梅内美華子(歌人) タイトルの 伽羅(きゃら) を 焚(た) いたのは敗戦の年の二月に亡くなった父を 偲(しの) ぶ夜、著者は80歳を超えていた。仕事や受賞の報告をしたい両親や先師はすでに先立ち、生とは「時空の 束(つか) の間の 偸(ぬす) みか」と、はかなさを 噛(か) みしめる。「偸…