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新型クラウン ホンダe:HEVに大注目! 新しい走りの楽しいストロングHV SUV/ミニバン選手権

 1997年12月、世界初の量産ハイブリッドカーとしてトヨタ 初代プリウスがデビューを飾ってから、丸25年が経過しようとしている。

 当時は特殊な存在であったハイブリッドシステムも、今ではごく普通の存在となり、いろいろな車種に設定されるようになった。

 本企画では、ストロングタイプのSUV/ミニバンにフォーカスを当て、「走りの楽しいハイブリッドカー」を探し出す! 「ハイブリッドカーは燃費だけ」というのはもう過去の話だ!!

※本稿は2022年10月のものです
文/橋本洋平、斎藤 聡、国沢光宏、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年12月10日号
※価格帯はハイブリッドモデルのみ

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■SUV編

ホンダ ZR-V e:HEV(2023年4月21日発売開始予定/価格はe:HEVの最廉価グレードがX・FFの329万8900円)…シビックベースで、2L直4直噴エンジンにe:HEVを搭載。リニアシフトコントロールも搭載されたことで走る楽しさはピカイチ!

 ZR-V(ホンダ)の正体はざっくりと言えば、「シビックベースのSUV」。

 すなわち、ハイブリッドシステムはホンダ独自のe:HEVで、スポーティに走ろうとアクセルを深く踏み込めば、旧来のガソリン車のように、エンジン回転が跳ね上がっては下がり、跳ね上がっては下がりというステップシフトを繰り返す。

 コレ、効率的に考えればあまりよくないが、官能性はピカイチだ。

 また、リズミカルな加速とエンジン音のリンクが爽快。静かに走ればその制御が影を潜める設定も秀逸だ。また、ストロークアップした足回りもグッド。リアはCR-V譲りのマルチリンクになるところも好感触。

 4WDについてもプロペラシャフトを介する常時AWDで、アクセルオンの瞬間からリアにトルクがかかり、フロントタイヤの依存度を下げてくれるところも走りの楽しさに繋がっている。

トヨタ クラウンクロスオーバー(2.4Lターボ・605万~640万円)…新たに登場したクラウンは2.5Lハイブリッドと別に2.4Lハイブリッドターボを投入。その走行性能は凄まじい!

 クラウン(クロスオーバー・トヨタ)で興味深いのは、RSに搭載された2.4Lのデュアルブーストハイブリッドシステムだ。これまでのTHSとは異なり、エンジンと6ATの間にモーターと2つのクラッチを搭載。

 おかげでアクセルレスポンスは超ダイレクトに仕上がっており、低速ではモーターが生み出すトルク感、中高速ではターボエンジンが生み出す伸び感がたまらなく心地よい。

 さらにリアにはbZ4X譲りのモーターが加わり、リアからの蹴り出しもなかなか。4輪操舵が付き、嫌味なく軽快なハンドリングが味わえる。

日産 エクストレイル e-4ORCE(319万8800~449万9000円)…可変圧縮比ターボやe-4ORCEなど、『技術の日産』らしいワザが詰め込まれている

 エクストレイル(日産)は可変圧縮比ターボの3気筒エンジンが、雑味を生み出すことなく、控え目にボンネット内で仕事をしていることがポイント。

 一方でシャシーはなかなかスポーティ。

 4WDのe-4ORCEは、兄弟車のアウトランダーPHEVと同じく、4つのタイヤの摩擦円を考慮したトラクションやブレーキ制御を行うことで、少ない操舵角でコーナリングするところがマル。

日産 キックス4WD(279万8400~328万1300円)…第二世代e-POWERとなりより磨きがかかったキックスも走る楽しさ抜群の一台だ

 キックス(同じく日産)に遅れて投入された4WDも見どころ満載。搭載されるe-POWERは第二世代となり出力もトルクもわずかに引き上げられた。

 一方でリアには50kW、10.1kgmのモーターが備わった。走ればエクストレイルのようにe-4ORCEはないが、減速時にリアから回生するためフラットな乗り味。リア足がしなやかなところもよい。

ホンダ ヴェゼルe:HEV(265万8700~329万8900円)…フィットベースだが、SUVらしい使い勝手とハイブリッドの走りの楽しさを両立させた

 ヴェゼル(ホンダ)はe:HEVのフィールはZR-V同様。こちらはフィットベースだが、タイヤのチューニングも絶妙で乗り心地も走りも好バランスに仕上がっている。

(TEXT/橋本 洋平)

■ミニバン編

ホンダ フリードハイブリッド4WD(279万8400~306万7900円)…e:HEVではなくi-DCDを搭載しているがスムーズな走り出しはハイブリッドならでは。4WDモデルならトラクション性能もよい。ミニバンだからと侮るなかれ!?

 1位にはフリードハイブリッド4WD(ホンダ)を推したいと思います。

 ホンダのハイブリッドシステムとしては一世代古いシステムですが、エンジン+モーターの駆動トルクをDCTを介して滑りなくダイレクトに路面に伝えることができるので、モーターの駆動トルクの分厚さ、エンジンの伸びやかさを実感できるシステムです。

フリードに搭載されるi-DCDは7速DCTでギア比は専用セッティングだ

 加えて4WDは、プロペラシャフトを介して後輪に駆動力を伝える機械式4WDで、4WDらしい安定性、トラクションの強さが得られます。

 モーターによって後輪を駆動することでリア回りの安定感があります。

ホンダ ステップワゴンe:HEV(338万2500~384万6700円)…e:HEVはモーターとエンジンの長所をうまく切り替えて走れるのが特徴だ

 2位には、同じホンダのステップワゴンe:HEVを選びました。エンジン+発電用モーター+駆動用モーターの2モーター式のハイブリッドです。

 このシステムは、基本的にバッテリー駆動ですが、エンジンと駆動用モーターがクラッチを介してつながっているため高速道路でのクルーズ時などにはモーターよりも燃料効率のいいエンジン駆動に(自動的に)切り替わり、モーターが苦手な高速走行をエンジンでカバーしてくれます。

 ステップワゴンe:HEVにも4WDが用意されており、こちらもフリードと同じようにプロペラシャフトで後輪に駆動を伝える機械式4WDです。

日産 セレナe-POWER(先代型・358万2700円)…モーターで駆動するため静粛性と航続距離の長さが特徴。間もなく新型が登場!!

 3位はセレナ e-POWER(先代型・日産)を選びました。

 日産のハイブリッドシステムは、モーターを駆動力として使い、エンジンはもっぱら発電用に使うシリーズハイブリッドです。

 ドライブフィールは完全にEVのそれで、アクセルを踏み込んだ瞬間から最大トルクである32.6kgmを発揮して力強く走り出してくれます。

 人をたくさん乗せるミニバンとモーター駆動の相性のよさに加えて、航続距離の長さも魅力のひとつに挙げられます。EVのようにバッテリーを充電する必要がないので、行動半径は格段に広くなります。

 またモーター駆動は横滑り防止装置との相性がよく、FFですが氷雪路を走るとその走りやすさに驚かされます。

(TEXT/斎藤 聡)


【番外コラム】輸入車編

 輸入車のストロングハイブリッドは基本的にすべて失敗作。そんなことから壊滅した。もはやPHVか電気自動車で勝負か、と思っていたらルノーが骨のあるストロングハイブリッドを出してきましたね!

ルノー ルーテシア(329万〜344万円)…欧州コンパクトで唯一のストロングHV搭載車。フットワークの軽い走りが魅力的だ

 トヨタや日産、ホンダとも違うタイプのシステムで、考え方としてはマニュアルミッション車と同じ伝達効率を持たせている。高速巡航などで日本勢より優れた実用燃費を発揮します。

ルノー アルカナ(429万円)…スマートなボディラインが美しいクーペSUV。E-TECHはF1直系技術だが、一度走ればその性能にメロメロになれるかも?

 ということで輸入車部門は『ルーテシア』『キャプチャー』『アルカナ』というルノーのE-TECH搭載車勝負になる。

 動力性能を重視するなら車重で決まります。ルーテシアが1310kgで最も軽く、キャプチャー1420kg。アルカナ1470kgといった具合。ただクルマの質感となれば、車重があるほうが上質になる。

 同じメーカー&システムということもあり、お好みのモデルを選べばいい。

ルノー キャプチャー(374万〜389万円)…ルノーのコンパクトSUV、キャプチャーにもE-TECHが搭載される。WLTCモード燃費22.8km/Lを記録する

(TEXT/国沢光宏)

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