たびたび話題となるローカルルールといえば、名古屋走り、茨城ダッシュ、伊予の早曲がり、松本走り、山梨ルールなどがある。これらの運転が持つ危険性とは何だろうか?
今回は、ローカルルールがどのような違反になるのかをご紹介しよう。
文/齊藤優太、写真/齊藤優太、PhotoAC、Adobe Stock(トップ画像=Home-stock@Adobe Stock)
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■名古屋走りとは?
名古屋走りとは、ウインカーを出さずに進路変更したり、無理な割り込みをしたりする走りです。また、信号を無視することもあるようです。
ウインカーを出さずに進路を変えるのは、合図不履行違反となり、違反点数1点、反則金6,000円(普通車)となります。無理な割り込みは、割り込み等違反となり、違反点数1点、反則金6,000円(普通車)。信号無視は、信号無視(赤色等)違反となり、違反点数2点、反則金9,000円(普通車)となります。
報道などでは、1時間のうちに30台以上もウインカーなしで進路変更していたことが取り上げられていました。このことからも、名古屋市内では、名古屋走りが日常化していると考えられます。
■茨城ダッシュとは?
茨城ダッシュは、信号が青に変わった瞬間に対向直進車より先に右折することです。茨城ダッシュをすると、交差点優先車妨害違反や交差点右左折方法違反となります。
本来、交差点を右折するときに直進・左折しようとする対向車がいた場合、対向車が優先です。これに違反すると交差点優先車妨害違反となり、違反点数1点、反則金6,000円(普通車)となります。
また、交差点を右折するときに、交差点の中心のすぐ内側を徐行して通行しない場合は交差点右左折方法違反です。違反点数は1点、反則金は4,000円(普通車)となります。
この茨城ダッシュについては、茨城県警本部が公式ツイッターを通じて危険な運転行為であると呼びかけたことも話題となりました。
茨城県警本部によると、2020年中に発生した交差点における四輪車と歩行者の事故のうち、約8割が右折時だったという結果から県警が「茨城ダッシュ」というローカルルールの名称を使って注意喚起をしたとのことです。
■伊予の早曲がりとは?
伊予の早曲がりは、交差点を右折するときに対向車が接近しているにも関わらず、ダッシュで曲がってしまう走りです。先述した茨城ダッシュと同様のダッシュ右折です。
この伊予の早曲がりについても、交差点優先車妨害違反や交差点右左折方法違反となります。愛媛県警では、交通事故の半数以上が交差点で発生しているという実態から、交差点違反の取り締まりを強化。
また、「いけんよ!! “伊予の早曲がり”は危険な交通違反です!!」とローカルルールの名称を入れた啓発ポスターも作成しています。
■松本走りとは?
松本走りは、左折する対向車の隙間を狙って右折するという走りです。強引な右折となるため、直進車や左折車がブレーキを踏んで急減速することもあります。もちろん、この松本走りも交差点優先車妨害違反や交差点右左折方法違反です。
松本走りについては、県政へ質問や意見を伝える「県民ホットライン」にも意見が寄せられています。
2019年8月に県民ホットラインへ寄せられた意見は「長野県に帰って来て驚いた。松本走りと言われる走り方をする車が多いこと、この様な危険な事を野放しにしていると言うことは警察も認めていると思っていいのでしょうか。違反ではないとお墨付きを与えていると理解します。」という内容でした。
この意見に対し長野県の県民文化部くらし安全・消費生活課/交通安全対策係は、
「松本走りについては、信号機の信号等に従う義務(道路交通法第7条)、交差点の安全進行義務(同法第36条第4項)、右折車の注意義務(同法第37条)等に違反する可能性が高い危険な行為であると考えます。
取り締りにつきましては、長野県警察本部の所管となりますことから、警察本部にお伝えしましたので、ご理解いただければと存じます。」と回答。
また、長野県の県民ホットラインをもう少し調べてみると、この意見の約1年前の2018年4月にも同様の意見が寄せられています。
同様の意見が複数見られることから、松本走りを改善するのに苦戦しているといえるでしょう。
■山梨ルールとは?
山梨ルールは、対向車がいるにも関わらず強引に右折するといった走りです。もちろん、この山梨ルールは交通違反となります。
山梨ルールについて山梨県警は、公式ツイッターやリーフレットなどで注意を促しています。公式ツイッターには、『【山梨ルール?恥ずかしい!】県外の方から「山梨ルール」と批判される、悪評高い運転をしていませんか?』とローカルルールは恥ずかしいことだとツイート。
また、事故防止のリーフレットには、目立つように赤字で「直進車優先」と表記されている部分も見られます。
■まとめ
代表的なものを含め各地のローカルルールを見てみると、さまざまな独自ルールが存在していることがわかります。しかし、これらのローカルルールは交通違反となることがほとんどです。また、周囲の交通や観光や旅行などで訪れた人たちに危険が及んでしまう行為といえます。
ローカルルールによって誰かの命を奪ってしまうことがないよう、運転者ひとり一人が自分の運転を見直すことが大切だといえるでしょう。
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投稿 名古屋走りに茨城ダッシュ! 今も横行するローカルルールの危険性と罰則とは? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。