BMWのトップモデル、7シリーズの先代モデル(G11型)は2015年に登場し、2019年のフェイスリフトを経て今日に至っている。そして7年目を迎えた2022年、ニューヨークで7世代目の7シリーズ(G70型)が発表された。
私はこの発表に先立ってBMWのテストコースでプロトタイプによる試乗会に参加したのでレポートしたい。
文/木村好宏、写真/木村好宏、BMW
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新型7シリーズ 内燃機関搭載モデルとBEVの2機種を同時発表!
私の前に現れた2台のニュー7シリーズは完全なカムフラージュ姿であったが、そのサイズは圧倒的だった。というのもBMWはこれまでのショート及びロングバージョンを廃止して新たにワンモデルに統一したのだが、その全長は5.4mで、これまでのロングバージョンよりも17cmも長いのだ。
この日に試乗できたのは、直列6気筒エンジン搭載モデルとフルEVのi7だったが、今回は後者「i7」を中心にレポートをお届けする。
BMWはCLAR(クラスター・アーキテクチャー)と呼ばれるフレキシブルなプラットフォームを採用しているが、それは内燃機関、PHEVそしてBEVのどんなパワートレーンにも対応できる。
そして、エクステリアデザインもiXシリーズのようなアバンギャルドなものからこれまで発表されたi4や今回紹介するi7のようにICE搭載モデルとほとんど変わらないアウタースキンを被せることも可能なのだ。
BMWらしさも残しつつ進化!! 安定感かつ乗り心地抜群でドライブを楽しめる!
BMWの近未来戦略は「顧客の選択肢を狭めない、自由」を提供することを標榜している。ゆえにi7も極端に薄いLEDヘッドライトや各部のEV専用ブルー・アプリケーションを除けばICE搭載モデルと見分けがつかない。
詳細は語られなかったが、試乗したのはおそらくi7xDrive60で、後日配布されたデータによれば前後に搭載された電気モーターによるシステム出力は400kW/544ps、最大トルクは745Nmを発生する。
また、ダイナミック性能は0‐100km/hが4.7秒、最高速度は240km/hである。そして搭載される105kWh(グロス)、101,7KWh(ネット)のバッテリーによる航続距離は510kmに達する。
この時点では、まだカムフラージュされたインテリアは「カーブド・ワイド・スクリーン」でOSはBMWオペレーティング・システム、加えてコンソールには伝統のiDriveが残されている。
ゆったりとしたキャビンのシートは快適だが、BMWらしさを残したスポーティで身体をしっかりとサポートしてくれる。そしてドライブペダルを踏み込むとドライバーの背中はバックレストにのめり込むような加速感が襲ってくる。
およそ1kmのストレートで簡単にドイツの巡行速度130km/hに達する。コーナーでは4WSとアクティブ・ロール・コントロール・システムのおかげで、5.4mのボディを感じないほどのクリックで安定したなハンドリングが際立った。
また、ブレーキフィールはまったく自然でメカニカルと回生の狭間を感じることはなかった。さらにランフラットを止めた19インチタイヤのおかげでロードノイズは減少し、乗り心地が向上している。
ベンツEQSに相当!? BMW i7はEVサルーンのバリエーションを増やせる
今回の試乗では走りよりもさまざまなADAS(ドライバーズ・アシスト・システム)を体験することができた。
特に面白かったのはスーパーマーケットの狭い駐車場に入り込んで、スペースが見つからなかった場合の自動バックアップ走行である。車載のコンピュータはそこへ入り込むまでの軌跡を記録しており、ドライバーは何もしないで最大で200m(これまでは50m)まで自動で戻ることが可能なのだ。
これは狭い道に入り込んで対向車に出会い、バックアップで戻ることもできる。こうした事態は頻繁ではないが、起こり得るので非常に便利なシステムといえる。
ここでは前述の4WSのおかげで狭くて曲がりくねった道でもさらにまた、さまざまな条件下、例えば隣にクルマが駐車していない場合、白線だけでも自動パーキングが行えるのも頼もしい。
さらに驚いたのはリアコンパートメントには31インチの8Kスクリーンがオプション装備可能でまさに車内で劇場のようなビデオを楽しむことができる。
BMW i7はメルセデスベンツEQSに相当するハイエンドEVサルーンである。
しかし、後者は近未来的なデザインを持つハッチバックサルーンでいっぽう、BMWのEVはiXシリーズもあり、自由な選択肢によって、これまでと変わらない独立したトランクを持った3ボックスサルーンを選べるという魅力は捨てがたい。
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