元テレビ朝日アナウンサーとしても知られる、自民党の川松真一朗都議(墨田区)が都民税の減税を巡り、都議会で興味深い質疑を展開してネットの減税派からにわかに注目を集めつつある。大手メディアの東京都庁担当記者どころか、専門メディアの都政新報ですら、まだ「政治的なニュース価値」に気づいていないようなので、筆者なりに「画期的」と感じたことを述べてみたい。
報道されない注目の質疑
自民党は昨年の都議選で「個人都民税の20%減税」と「事業所得税の50%減税」を打ち出した。川松氏はその実現をめざすもので、特に都民税20%の可能性に手応えを感じている。
そして注目の質疑があったのは今月1日の財政委員会。執筆時点では都議会サイトの動画アーカイブがアップされる前だったが、川松氏のブログによると、財政能力がどれくらいあるのかに狙いを定め、持ち出したのが「経常収支比率」だった。
これは、人件費、公債費などの経常的な経費に、税収による経常的な収入がどの程度充てられるかを示すもので、100%に近づくほど悪化。財政危機だった自治体は100を超えることもあるが、現在の都道府県で46道府県は90%を超えてやりくりしている中で、東京都だけは70%台と異様に良く数字上はたしかに「余力」がある。
自民の試算では、2000億円の減税は可能としているが、川松氏は「仮に減税を実行しても、メリハリのある予算作り・予算執行で捻出は可能」と主張し、「なぜできないのか」と一気呵成に迫ったところ、財務局はよほど困ったようで「『東京富裕論』が怖い」と言い出した。つまり客観的な数字ではなく、苦し紛れに政治的な“感情論”を持ち出し始めたわけだ。
「東京富裕論」とは、その詳細は後述するが、ここでは「東京は豊かだから減税をするのだ」という意味だろう。川松氏は筆者の取材に「税金は余っている。問題は都がそれを自分たちのお金と思って貯金に回すのか、都民からお預かりしたお金を還元するかどうかだ」と強調。12月の次回定例会でも強く迫る構えだ。
ここまで書いてきたことは議会で起きた出来事だが、昨日3日までに報道は全くなかった。しかし筆者は冒頭で書いたようにかなり画期的だと考えている。