Mスポーツ・フォードWRTの代表を務めるリチャード・ミルナーは、イギリスの名門ラリーチームが2022年シーズン中に達成した進歩を、さらに推し進めることを切望している。
WRC世界ラリー選手権の最高峰カテゴリーで、TOYOTA GAZOO Racing WRTとヒョンデ・シェル・モビスWRTを相手に戦うMスポーツ・フォード。セミワークスチームであるこの組織は、フルワークスのトヨタ、ヒョンデの両チームがすでに2023年シーズンの参戦体制を明らかにしているなか、現在までそのアナウンスを行っていない。
ミルナーは、ラリー1規定導入2年目となる2023年のドライバーラインアップを検討中だが、フォード・プーマ・ラリー1で達成した導入初年度の成果を基に、チームのポテンシャルに自信を示している。彼は多くの物事が、とくにシーズン序盤に示されたポジティブな面を隠してしまっていると考えている。
「クレイグ(・ブリーン)の決断(チームを離れ、ヒュンダイ陣営に戻ること)については多くの議論があった。いろいろな意味で、チームとして成し遂げたいくつかの前向きな進展が影を潜めてしまったと思う」とミルナーはWEC.comに語った。
「シーズンの序盤を振り返ると、我々は新世代のラリーカーでいきなり勝てることを証明し続けた。なかでも、モンテカルロでのセブ(セバスチャン・ローブ)の勝利は非常に特別なものだった。そしてセブは、乗るたびにラリーをリードする速さとポテンシャルを見せ続けてくれた」
「ローブだけではない。ガス(・グリーンスミス)とピエール-ルイ(・ルーベ)が本当に、本当に良い結果を残してくれた。ガスの2022年シーズンの出だしは素晴らしく、スウェーデンの終了後にランキング3位につけていたことを忘れてはならない」
「そしてピエール-ルイは、彼にとって初めてのステージ優勝とラリーの総合リーダーを経験した。これは私たちが本当に協力できるペースと可能性があることを示しており、私たちはそれを前進させることに興奮している」
ミルナーは同時にMスポーツチーム全体を称賛し、次のように付け加えた。「人々はこのチームにとって物事が必ずしも単純ではないことを理解していると思うが、このチームはとにかく素晴らしい」
「我々はひとつのイベントでラリー1カーを5台走らせた最初のチームとなった。どうか信じて欲しい。たしかに、この1年は厳しい状況だったが、そのなかでもいくつか最高の瞬間があった。私はそれを忘れたくない」
2022年シーズンはグリーンスミス、アドリアン・フルモー、ヒョンデで3台目のワークスカーをダニ・ソルドとシェアすることになったブリーンの3名を基本ラインアップとしてシーズンを戦ったMスポーツ・フォードWRT。ブリーンの離脱が確定したいま、このオフにヒョンデを離れた2019年王者オット・タナクのチーム復帰が現実味を増すなか、チームは現在まで沈黙を守っている。